無印

□夢でみたこと
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目が覚めたら、白い天井を見上げていた
あの時と同じだ、世宇子中に敗れた時
あの時もこんな天井を見上げていたな



皇帝ペンギン1号の使用で
俺の体は砕けそうになった



わかっていた、こうなることは、
わかっていたはずなのに
俺はこの選択をした




頭に焼きつくのは紅の声
あいつは泣いていた
そういえば前に夢がどうとか
言ってたな…




あながち、あの夢は間違ってなかった
俺は紅の制止をきかず
彼女をおいて真帝国を選んだ




ガラリと、窓が開いた
また奴がやって来たと思い身構えた




「久しぶり、次郎」

「紅?!
なんで窓から入ってくんだよ
普通にドアから入れよな」

「ふふ、元気そうでよかった…
あのね…最初にどう話しかけたらいいか
わかんなかったから
こんな登場にしてみたの、ほらね
こんなに自然に会話できるよ」




彼女はたまに
突拍子もないことを考えつく
でも確かに、会話のきっかけには
十分すぎるきっかけのおかげで
あんな離れ方をしたことが嘘のように
いつも通りに話しができる




「ずっと、会いたかったの…
でも、なんて話したらいいんだろう
次郎は私に会いたくないんじゃないか
って、いろいろ考えてね
でも私、考えるのとかあんまり
得意じゃないからさ
あれこれ考えてるうちに来ちゃったの」

「俺もずっと、会いたかった
ずっと謝りたかったんだ
いくらエイリア石の影響だったとはいえ
冷たい態度をとって、傷つけた…
誰よりも大事な紅に
つらい思いさせるなんて、ホント……
最低だよな、ごめんな紅」

「ううん、謝らないで??
こうして、次郎が戻ってきてくれて
またいつもみたいにいられるだけで
私はそれだけでいいもん」

「お前は強いな
俺にもその強さがあれば…」

「そんなことない、次郎は十分強いよ
きいたよ??なんかすごい技のせいで
こんなにケガしちゃったんでしょ?
でも、そんな危ない技をできちゃうなんてすごいよ
私だったら、いくらなんとか石の
力だとしても、怖くて無理だもん」

「ホント、紅には
支えられてばっかりだな
ありがとう、紅」




次郎はそう言って私に微笑んだ
いつもの次郎が帰ってきてくれた
それが嬉しくて私も微笑んだ






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