無印

□炎+氷=ぬるま湯
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彼らとの三角関係生活は
私達がエイリア学園と名乗るより
前から始まっていた





私たちはみんなおひさま園という
孤児院の出身なので身寄りがない
どういう経緯だったか詳しくは
覚えてないけど、昔から私たちは
3人一緒にいた
お昼寝も、ご飯も、いつでも一緒で
晴矢君と風介君の間にいつも私がいた





体で繋がるようになったのは
いつからだったか…覚えてない
昔からずっと一緒にいすぎて
いることが当たり前すぎて
離れるという考えがなかった






だから彼らが韓国代表になると聞いたとき
初めて離れるかもしれないという現実を知った
しかし、それは現実にはならなくて
晴矢君と風介君が無理やり私を同行させた





韓国代表に誘ってくれた照美君は
条件付きでそれを了承した
その条件というのが
彼らの生活リズムを狂わせないこと





韓国代表は本来 代表合宿を行っている
しかし、そこは男所帯なので
女の、しかも韓国代表選手でもない
私が入っていいわけがない場所
そこで晴矢君と風介君はわざわざ
合宿場所の近くに私と3人で暮らし
時間に間に合うように練習に参加している






「紅ー、俺のジャージ
洗っといたかー??」

「ちゃんと洗って乾かしてイスに
置いといてるでしょー??
ちゃんと探してよね」

「貴様は紅になんでも
任せすぎだ」

「そーゆー風介君もね、
髪乱れてるから、動かないで」

「すまない」





韓国代表専属の栄養士の人から
指定されているメニューを彼らにだす
これがまた、栄養を徹底的に管理
されてるうえに美味しいからすごい





「見て!!今日は5分余裕あるよ」

「晴矢が自分のことを自分でできれば
もっと余裕ができるんだがな」

「るせーな! 俺だって
ちょいちょいやってるじゃねーか
てめぇだって、髪に時間にかけすぎだ」

「それはお互い様だろう」

「はいはい、2人ともケンカしないでね
せっかく早く準備できたんだから
余裕をもってでかけなよ
はい!荷物持って!!」





この2人は放っておくと
勝手にケンカを始める珍しい生物だから
こうして仲介してあげないといけない
昔からずっと一緒にいるのに
いつもケンカできるのが不思議だよ
ケンカするほど仲がいいっていうけど
まぁ、あながち外れてないのかもね





「今日は風介君の番だね」




毎朝の日課
でかける2人を見送るキス
私はホントは両方にしてあげたいの
だけども当人同士が嫌だというので
毎日交代でキスをする




「いってらっしゃい2人とも
ガンバってきてね」

「あぁ」

「おう!行ってくるぜ」




こうして2人を見送るたびに思う
あと何度、この生活ができるのだろう
わかってる、こんなの普通じゃない
いつか終わらせないといけない



でも、私たちは終わらせることを望んでいない
いつまでもこのまま、この三角関係を
続けていきたいと思っている




違う、終わらせてもいいとは思ってる
終わらせ方だってわかる
でも、怖いんだ
終わらせた先に何があるのかわからない
それが怖いんだ





だから今はまだ、この生温い幸せに
つかっていたいと思う







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