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□運命
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「優一先輩みたいなお兄ちゃんが
欲しかったなぁー」



私がマネージャーをしている
雷門サッカー部のOBの剣城優一先輩
世代はかぶっていないけど
OBとしてたまに練習に顔を出しに
来てくれるので仲良くなった

今日は部活終わりにあれこれ
雑務に追われて帰りがこんなに
遅くなってしまった

薄暗い通学路を1人で帰るのは
あまりいい気持ちのするものでは
ないので嫌だなぁと思っていると
偶然にも優一先輩に会い、
一緒に帰ってくれるというのだ



「そうかい?
俺も紅ちゃんみたいな
可愛い妹なら欲しいな」

「そういえば、優一先輩って弟さんが
いるんですよね??」

「いるよ 紅ちゃんと
同じ歳の弟が」

「同じ歳ってことは、雷門ですか?」

「そうだよ あ、そうか
クラスが違うから会わないのか」


優一先輩は納得したように言うと
前方に何かを見つけたようだ


「噂をすれば、
おーい!京介ーっ!!」

「兄さん? 何してんだ?こんな時間に」


優一先輩が声をかけた先にいたのは
紫色の改造制服を身にまとっている
いかにもヤンキーな少年だった


「後輩を送っていくところさ
紅ちゃん、紹介するね
俺の弟の京介だ
こっちはサッカー部のマネージャーを
してる紅ちゃん」

「九条紅です
よろしくね」



優一先輩と同じ色の髪に
同じ色の瞳
ひとめで兄弟だとわかる美形兄弟だ



「京介と紅ちゃんは
同じ学年だし、学校で会ったこと
あるんじゃないか??」

「たぶんすれ違ったりはしたことあるけど
話したことはないよね?京介君?」

「馴れ馴れしく名前で呼ぶな、九条」

「…ごめんなさい」

「京介、そんな口の利き方はないだろ
ごめんね?紅ちゃん」



京介君は機嫌の悪そうな顔をして
去って行ってしまった



「ほんと、ごめんね紅ちゃん
本当はあんなやつじゃないんだけど」

「いえ、とんでもないです
それに、わかります私
だって優一先輩の弟なんですから
きっと優しいに決まってますもん」






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