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□ひねくれ者
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休み時間にふと窓の外に目をやると
見慣れた人物がいた
声をかけようと思ったが1人じゃなかった



もう1人、見たことのあるような
ないような顔がいた




遠くて会話は聞こえないけど
まぁ、聞かなくても内容なんて
簡単に想像できる






____________








「モテる男は大変ね」

「何のことだ?」

「休み時間、告白されてるの見たの」





南沢篤志、顔はいい方だと思うけど
こいつのねじ曲がった性格を
知ってる私には彼の魅力がわからない






「盗み見とか悪趣味だぜ」

「たまたま見えたの
見られたくないならもっと
目立たないとこで告られてよね」

「見せつけてんだよ」

「そっちの方がよっぽど悪趣味」




私と篤志の関係は友達未満、幼馴染以上
恋人以下といったところか
付き合ってるかと聞かれればnoと答えるが
ただの幼馴染という関係でもない




篤志は告白されるとき
付き合っている人がいるのかと
聞かれたら否定する
しかし、好きな人がいるのだという




その好きな人が振り向いてくれるまで
篤志は私とのこの不安定な関係を続ける
その好きな人が振り向いたらこの関係は終わり




だって、その好きな人っていうのが
私なんだもの
もし私が篤志のこと好きになったら
両思いの恋人同士になってしまうから
この名前のない関係は終わる





「好きな人がいるなら
告白したらいいじゃない
南沢篤志に告白されて断る女なんて
この雷門にいないんじゃない?」

「よく言うぜ
まぁ、でも、俺は自分から告白しない主義なんだ」

「なにそれ」

「自分の好きな女が自分に告白する姿
見たいって思うだろ、フツー」





この男は本当にねじ曲がった性格をしている
私はあなたのこと好きだけど告白はしない



だって普通、自分の好きな人が自分に告白する姿見たいって思うじゃない?






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