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□時空を超えて
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空と同じ色の羽織の裾を掴んだ
わかってる
こんなことしても彼を困らせるだけ





「沖田さん…、私…」

「それ以上、言葉にしてはいけない
俺と君とでは、過ごす時代が違う
この想いは、抱いてはいけない想いだ」





沖田さんは私に言った
そんなこと言われたら期待しちゃう
沖田さんも私と同じ気持ちだって
期待しちゃうじゃない……






「君には、まだまだ未来があるだろう?
俺は知っての通りこの体だ
あまり長くはないだろう……」

「そんなこと言わないでください!!
沖田さんにも、長い未来があります…」

「いや、自分のことは自分がよく
わかっているつもりだ」





私も、知ってる
沖田総司は労咳で若くして死ぬと
この時代では不治の病でも
私の時代には治せない病気じゃないのに





「君に出会えてよかったよ
九条紅と言ったね
君のことは決して忘れない」

「私も…、沖田さんと出会えて
少しの間でしたけど一緒に過ごせて
本当によかったです……」





泣いたりはしない
彼の前で泣いたりはしない
笑顔でお別れするんだ
もう二度と会うことのない彼の記憶に
泣いた顔じゃなく、笑った顔を残したい






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