レジェンド

□そして母になる
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電話やメールで伝えたくはなかった
ちゃんと面と向かって話したかった
だから彼が帰ってくるのを待った




「ただいまっ」

「おかえりヒロ…」

「紅!!」




バタバタとせわしなく帰ってきたヒロトは私を見るなりぎゅっと抱きしめた





「ヒロト?! どうしたの?!」

「紅どこか具合でも悪いの??大丈夫かい?!
緑川に聞いたんだ、今日病院に
行ったんだって??
なにか重い病気なのか??」

「落ち着いて、ヒロト
私は大丈夫、どこも悪くない
なんの病気でもないから」

「そうか、それならいいんだ
でも、どうして病院に??」





抱きしめていた私を離し
ヒロトはなおも心配そうにきいた





「そのことでね、ヒロトに話したいことがあってね…」




私がソファに座るとヒロトも座った
呼吸を整えてヒロトをみる
ヒロトはどんな話なのか予想できないようで硬い表情をしていた



「あのね、ヒロト
私 妊娠してるの…まだ3ヶ月なんだけど
お腹にね赤ちゃんがいるの」



ヒロトの目をみて告げると
彼も真っ直ぐに私を見てきいていた
そして、固まっていた表情がほぐれる



「本当?!」

「うん…」




彼は私の手をとった
私より大きな手が私の手を包む
なんてあたたかくて安心する温度
なんだろう…




「ありがとう紅!!
嬉しいよ、本当に嬉しい
これからも紅のこと大切にする
もちろん産まれてくる子どもも
だから安心して産んで欲しい」



ヒロトは喜んでくれた
嬉しいよ、私も嬉しい
大好きなヒロトとの子どもだもん
でもね、私とこの子がヒロトの負担に
なるんじゃないかって、怖いんだよ…



「きいて、ヒロト…
赤ちゃんができたのは私も嬉しい
だってヒロトとの子どもだもん
絶対 可愛いし、何よりも大切だよ
でもね、ヒロトがいつも忙しいの
知ってるからこそ
私とこの子がヒロトの重荷になるんじゃ
ないかって…不安なの」



子どもができたことは嬉しい
でも素直に喜べないことを伝えると
ヒロトは私の隣に座り私の肩を抱き寄せた



「紅がそんなこと
考えてたなんて知らなかった
確かに最近はちょっとやること多くて
大変なことも多い

でも、大好きな人を幸せにするのが
俺の1番の仕事だと思ってる
だから、どんな事よりも紅と子どものことを優先する……、なんて
言ったらダメか

んー、なんて言ったらいいんだろう
うまく言葉にできないけど
俺にとって紅が負担になる
なんてことはありえないから」

「ヒロト…、嬉しい…」

「だからね、紅
順番 逆になっちゃったけど
俺と結婚してほしい
これからたくさんの時間を一緒に
過ごしていきたいんだ
もちろん、その全部が幸せとは限らないかもしれないけど、大切にするから」




そういうとヒロトはスーツのポケットから小さな箱を取り出した




「本当はね、少し前から持ってたんだ
でもタイミングがあわなくて
ずるずるきちゃって、ごめんね」



困ったように笑い、ヒロトは箱を開けた
中にあったのはキレイな指輪だった




「うそ…、信じられないっ…
大好きっヒロト!!
私も、ヒロトとずっと一緒にいたい
大変なときは私のことも頼って??
少しでもヒロトの支えになりたいの
だから、これからもよろしくお願いします」









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