無印

□壁
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あいつはいつも、俺につきまとう
昔からそうだ いつもいつも
俺の側にいた





ある人の誘いで
サッカーをすることになった
別に理由なんかねぇ
ただの暇つぶしだった




「明王っ」




うるせぇあいつから離れるための口実
なんだってよかった
ただ、あいつから離れたかった
あいつといると調子がくるう




「私も行く!」

「はぁ?! ついてくんな」





いつもこうだ
なんで俺に構うんだよ
ほっとけばいいだろ
こんなに突き放すのに、何度も何度も
お前は変わらずに俺につきまとう





本当は分かってるんだ
俺はお前のこと、嫌いなんじゃない
むしろ好きだ…だからこそ、
どう接していいかわからない




でも、これだけはわかる
お前のこと好きだからこそ
今はお前といるわけにはいかねぇんだ




「私が、明王と一緒にいたいの!」

「はぁ?!何言ってんだ?
とにかく、お前は連れてけねぇ」




今の俺がお前といたところで
何も変わらない
こんなに好きなお前に
つらい思いをさせちまう




まぁ、こんなに突き放してる時点で
つらい思いさせてんだろうけど




いつか、いつになるかわかんねぇけど
ちゃんとお前に向き合うから
だから、





「おとなしく待ってろ」





俺たちにはまだ、壁が必要だ









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