無印

□帝国学園のお姫様
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嫌な夢を見て目が覚めた
唯一の救いは目が覚めて最初に
見れるのが最愛の弟の寝顔だということ




「次郎…」




普段は眼帯で隠れている弟の右目には
あの火事の傷痕が残る
こんなキレイな顔なのに…
私が変わってあげられたらいいのにね
そう思いながら弟の傷痕にキスをする






「紅??
また、夢みたのか??」

「ごめん、起こしちゃった??」






次郎は知ってる
私があの夢を見た朝は必ず泣きながら
次郎の傷痕にキスすることを






「大丈夫だから、な??泣くなよ
今日から中学生になるんだからな」

「うん、そうだね…ありがとう 次郎」







幼い頃、火事で家族を亡くした
唯一生き残った双子の私たち
次郎は右目に、私は背中に傷を負った
程度で助かった



私たちは別々に引き取られ育てられた
私は九条に苗字が変わった
苗字は変わっても私たちが双子で
この世で唯一の家族であることに
変わりはなかった




別々に暮らしてしばらくし
もうすぐ中学に上がるという頃
突然、あの方が現れた
影山零治、彼は帝国学園入学を条件に
私と次郎を養うことを提示した




理由はわからなかったけど
彼は私と次郎に共に暮らせる家と
帝国学園の学費、生活費の全てを与えた





そして私と次郎は今日から
帝国学園に通う







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