Guilty
□宮兄弟のアイダ
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( 彼女は最初からそこにいた )
( 後付けでもなく )
( 彼女の居場所は決まっている )
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広大な土地に聳え立つ、城のような建物……___________全寮制国立魔術学校。
魔術師ですら関係者以外の立ち入りを深く禁じられている”許された者の場所”____________古い家系の者は勿論、魔戦で好成績を収めた者、超難関実技試験に合格した”魔術師のみ”が入学を許される国内外最高超エリート魔術大学とは此処の事だ。
名家の後継も、魔戦の強豪も全てが此処に揃う______。
そんな学園の入学式から二週間後。
「ねえ君終綾芽ちゃんだよね?」
『…』
木陰で本を読んでいた一人の女子生徒の前に現れたのは、男女数名の生徒。穏やかで静かな空間は「ちっちゃーい!」「普通に可愛いじゃん!」…などと好き勝手に評価しては騒ぐ生徒達の所為で台無しに。
綾芽は本を閉じずに視線だけを向けた。
「あ、オレら稲荷崎の超ファンでさ!他の人達もいるの?」
「いいよなぁ〜稲荷崎から声掛かるとか。マネージャー志望すら百を超えるっていうのに」
……彼らの正解点と不正解点を訂正しよう。
まず正解点は”終綾芽が魔戦前回の全国大会で二位を納めた古豪であり強豪・稲荷崎から声が掛かった”ということ。それは事実だ。綾芽だけに関わらずドラ◯トや越境と同じで、強豪であれば強豪であるほど入れば噂になる。彼らが知っているのも不思議ではない。
「ねぇ、宮先輩とかいないの?マネージャーはそういうの知ってるんじゃないの?」
『…マネージャー?』
…次、不正解点。”綾芽がマネージャーとして選ばれたと思い込んでいる”こと。
入りたてで、大きな大会もこれから。知られていないのは当然だろう。だから彼らも______いや、殆どの生徒が”終綾芽はマネージャーとして選ばれた”と思い込んでいる筈だ。
「いや、あんたマネージャーなんでしょ?」
イマイチな反応しか見せない綾芽に苛立った巻き髪女子生徒の一人が腰に手を当て前のめりになる。一緒に香水の強い匂いがした。
『綾芽、マネージャーやないですよ』
聞こえたのは関西弁。
穏やかに吹く風が亜麻色の透き通った髪を梳かす。髪の隙間から見える陶器肌と、血のように赤い瞳と唇。不思議で、どこか人間離れした容姿。____こういうのを淡麗と言うのだろう。
「えっ?…は?じゃあ何なの?」
『選手…』
「そうなの!?」
ドッと盛り上がる男女数名の生徒。
半信半疑だが、綾芽はあの稲荷崎に選ばれている。…故に嘘の可能性はゼロといえる。
「じゃあ余計に選手と仲良いんじゃね?」
「ね、宮先輩とかと喋ったりする?!」
「北君きてないの!?アランは!?」
グイグイと詰め寄る集団。綾芽は嫌そうに立ち上がると、その場を離れようとした______。
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