テディベア
□01.
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《 昨夜、〇〇区で異能力を所持した小型犬が大学生を襲いました。襲われた大学生四人は全員重傷です。現在〇〇区は立ち入りが禁止されており、異能組織により小型犬の捜索が行われています___________》
_____________駅を出た先、横断歩道前。
ビルヂングの大きな液晶で流れるニュース。わざわざ立ち止まって見る者は一人もいない。信号が赤になれば、スマホを触りながらちょっと見るくらいだ。
大きな液晶画面も、ニュースの内容も此処では全て当たり前のことなのだから、無理もない。
そんな中、真白綾芽は人を待っていた。
互いをよく知る幼馴染で、同じ異能力者の彼、影山は、綾芽が引っ越すまで何をするのも一緒だった。
そして今日、異能組織の烏野支部に所属する彼と、綾芽が同じ目的で集まる。
「よう、待ったか」
『あ!ううん待ってない!わー……背伸びたね?いいなぁー』
「前会った時から2センチ伸びた」
だろ?と言わんばかりにニヤリ笑う影山に『言わなくていいし!』と綾芽が軽く小突く。そんな綾芽に対し、口角を上げる影山は楽しそう。
『飛雄こそよく一人で地下鉄乗れたね?烏野からは近いけど、割とややこしいから一時間はロスすると思ったのに……いつの間に慣れたの?』
「うっせ。地下鉄くらい余裕だっての。行くぞ______________電車もうすぐだろ」
先程上がってきた地下鉄へ繋がる階段の方へ振り返る影山の服を掴んだ綾芽は『そうだけどソッチじゃなくてコッチ。また地下鉄乗るの?』とさっきの仕返しと言わんばかりに得意げに笑った。
「ちょっと間違えただけだ」
『ハイハイ、そうだね』
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