Hate

□対魔人組織の招集と刺客
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____________第六講堂。
それぞれ離れた場所に、椅子の代わりに魔法陣に座る集められた6名。低い位置の者もいれば、部屋の天井近くから下を見下ろす者もいる。講堂の座椅子は当然空席。
6つの魔法陣は各々の魔力の色で朧に光り、薄暗い部屋を照らしていた。

一番上を陣取る綾芽は赤い魔法陣から脚をフラつかせている。


「おい綾芽!さっきはよくもやってくれたな!」

「いやさっきのはどう考えてもお前が悪いだろ…」


綾芽に近づこうとする星海に、佐久早の隣で突っこみをいれる古森。何があったのか分からない赤谷は頭上にハテナマークを浮かべながら宮に問いを投げる。


「なぁ侑〜綾芽と光来なんかあったのか?」

「ん?あー…いつものヤツやで」

「ふーん。ま、ここでドンパチやるなら俺も混ざるかっ」

『はぁ____________煩いなぁ…』


ため息をついた綾芽は左手を星海に向けた。直後、全員の視線が綾芽に集まる。


「上等だァ!」と星海も左手を向けた。


無詠唱ですら凄まじい綾芽と星海が利き手ではないにしろ、手を使用する。それは「半本気」も同然。このままでは第六講堂がタダでは済まないだろう。

星海と綾芽の距離、およそあと数メートルのところで___________……ヒュンーッ。

2人の間を裂くように通った黒…


「…」


黙れと言わんばかりに眉を寄せた佐久早の仕業だが、彼のおかげで静まりようやく本題に移れる。正面の魔法陣に立つ幻影の男が咳払いをした。


「コホン_________。
では、これより対魔人組織の定例会議を行う。此処にいない者には、いつも通り会議の後に私から使い魔を送る」

「で、今回の議題は?」


妖艶な笑みで聞く宮。


「………惺、出海…両家とその関係者全員の死亡を確認したと白鳥沢から報告を受けた。手口も犯人も組織Qで間違いないらしい」

「出海?…そこって確か今の当主が割とやるとこじゃなかったか?」

「ああ。星海の言う通り、当主出海秋はQの一人を仕留めていた痕跡があった。……が、彼も魔術回廊を粉々に破壊されていたらしい」

『彼”も”?』

「______………両家全員の魔術回廊が破壊されていた」

「全員?ギャハハ、何のためにだよ」


魔法陣中央の幻影は綾芽と赤谷の問いに表情を曇らせた。


『……簡単だよ。Qはそれだけの魔術師で』


薄い唇が紡ぐ言葉。冷たい赤い瞳は誰も写していない。


『魔術回廊は魔術師にとって内臓みたいなもの。一度壊せば死ぬまで治らない…。
何十人も殺すだけで手間がかかるのに、全員が魔術回廊を壊されて死んでる。つまりこれは________魔術師を否定する魔術師狩りだよ』

「さすがは煌李家当主。
その通り、奴らの正体は魔術師狩りだ。しかし厄介なことに今回の魔術師狩りは組織で動いている。どうやら下級家を洗脳して数を増やし続けているらしい。」

「そら嫌な話やなぁ」

「だなー。戦争が起きるなこれは」

宮に同意の古森。



【赤谷 立】
対魔人組織の一員。綾芽と同じく個人プレーヤーだが、酒、女、喧嘩を繰り返す不安要素がある。

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