Hate

□うらおもて。
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「やっぱ同じ組織の俺らとすら壁一枚分くらい差があるよな….」

「一番ヤバいのは煌李だろ。あいつ女でトップ集団とフツーにやりあってんだぞ?ちょっと怖えわ」


__________________同じ組織内の魔術師ですら眼を見張る模擬戦。彼らの魔力の色の閃光が目にも留まらぬ早さで走る。


「(星海さんか!速い…!やっぱ連携慣れした相手チームの方がかなり有利だな…)____________うぉっ」

今日組織に入り、初めて組んだチームメイトと噛み合うようで噛み合わない影山。
直後、目の前に起こる爆発。
おそらく自分に向けられた相手チームからのガンド。しかしそれはチームメイトの綾芽が跳ね返していた。


『大丈夫?』

「すんません!つい…(日向とやる連携のクセで止まっちまってた…)」

『気にしないで。…それと、ここからはさっき話した作戦Bでいこう』

「(作戦B……煌李さんが前線で俺が後方からフォローしながら仕掛ける)…了解です!佐久早さんは…」

『この場合佐久早くんは個人でやってくれた方がいいから……くるよ』


_____________ブワッ…!!!
……綾芽が庇うように前に立っていようと、その一撃は確実に影山を狙ってきた。
…予想できていたとはいえ、実に嫌らしい作戦。入りたてで連携もできない影山を狙う。そしてそんな影山をカバーするのは綾芽しかいない。つまり最終的に狙われるのは___________…「アラ、外してもた」………綾芽。

「!…(宮侑……!今完全に俺狙ったのにもう煌李さん狙ってんのか……!?
…いや、初めから連携できない俺を庇ってる綾芽さんを狙ってたのか?)」

魔戦・護身術は必ず身体を魔術で強化して行う。どんなに軽装だろうと生身だろうと、強化すれば身体は防具を装備した以上の強さになる。無論、魔力が多く、安定している程強い。

『影山くん、下がって』

そして彼らはそのトップを誇る者達。そのトップに入る唯一の女性である綾芽に手を抜くような連中は組織内にいない。


「ホンマすばしっこいなァ綾芽ちゃんは。でももう捕まえ___________」


________________ダダダダダッ!!
綾芽と宮を囲う結界に降り注ぎ、結界の壁を破壊したガンドは的確かつ鋭い。ソレが放たれた方に視線を向ける宮。「…へぇ、やるやん」…覚えがないこのガンド、つまり影山のものだろう。宮はニコリと笑う。


「宮!綾芽仕留めろ!」

「ハイハイ」


後方の影山を仕留めに掛かった星海。
宮もその直後綾芽を仕留めるべく地面を蹴る。彼の首筋や腕で強く光る魔術刻印が綾芽への本気を示している。____________……しかし。

綾芽は佐久早の横に降り立つ。
『避けて』と言った綾芽を佐久早は一瞬見た。「……」
…直後、二人は同時に地を蹴る。そして綾芽が魔術を発動すると、影山を追う星海、そして自分を追う宮を赤い糸の網が止める。


「チィ…!」

「相変わらずの攻守優れたオールラウンダーぶりよなぁ」

『影山くん、私から離れないように星海くんを叩いて。私は宮くんをやるから』

「了解です!」



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