テディベア
□02.
2ページ/4ページ
.
_____________夕刻、食堂。
影山と綾芽、そして森然の千鹿谷の三人が一つのテーブルで一緒に食事をとっていた。綾芽は影山がいるので、例え知らない人がいたとしても安心できた。
「いや〜やっぱ知ってるヤツいるとちょっと安心だな」
「(………ブロッコリー二号…)」
「(うう……。…夏合宿の時から近寄り難いとは思ったけど何を考えてんのやら…。しかも今回は超可愛い女子連れてるしマジわからん……)」
折角話しかけたのにも関わらず、無口の影山に千鹿谷は苦笑い。綾芽も綾芽で同じく無口で、夕食をもぐもぐと小動物のように堪能している。
_____________そんな時だった。
「おい」
影山の背後から掛けられた声は、昼間同様に佐久早のものだった。その正面に座る千鹿谷は「(サクサ…!)」と声には出さないものの驚く。
「俺まだビデオ見れてないんだけど、白鳥沢はなんで負けたの?若利君は不調だったわけ?」
佐久早は、影山の所属する支部と戦闘した強力な異能支部白鳥沢の戦闘結果について聞きに来たらしい。白鳥沢には佐久早同様、三本指に入る牛島若利がいるからだろう。
「…………絶好調に見えましたけど」
「ハァ〜〜??じゃあなんで負けたんだよ?どんな手使った?誰が若利君止めた??」
『………』
_____________佐久早の上半身が影山にグイっと詰め寄る。ポケットに手を入れた上にマスク姿は、どこぞのヤンキーに見えて仕方がない。
綾芽は自分が何よりも信頼し、慕い、波長の合う存在である影山が詰め寄られているので、デザート用のフォークを噛んでいる。
「ああ まあ 止めてました(日向のアレか)」
「そいつ誰、何年、なんてやつ、どこ中「悪いねー!コイツ超ッッッ絶ネガティヴなのよ!自分を脅かしそうなヤツが気になって仕方ねえの!」」
今にも綾芽が噛み付きそうになった瞬間だった。佐久早と同じ支部に所属する古森元也が現れた。
『……』
「綾芽ちゃんもゴメンね!あと、久しぶり」
『うん……久しぶり』
「(井闥山の古森さんと知り合いかよ羨ましい…)」
愛想の良い古森に、愛想笑いで返す綾芽。そんな光景に影山は内心羨ましい気持ちで一杯だった。
「俺はネガティヴじゃない。慎重なんだ」
「佐久早さんはまだ、本気じゃないですよね」
「……何で」
_____________話はまだ終わらない。
.