Hate

□蛇と遭遇、鼬の威嚇
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____________この学園の森の奥の建物。

此処だけに限らず学園の所有する森の中には校舎や寮以外に、授業に使われていない建物がいくつもある。所謂隠れ家的な建物の数カ所は基本的に魔戦の組織の縄張りとして使われているのだが。


『ここかな…』


…今頃騒がれているであろう庭から移動した綾芽は、森の奥の一つの建物に訪れていた。玄関扉を閉めると、昼間だというのに一気に暗くなる館。自分の足音だけが聞こえる。

____________と、その時だった。

『ん…っ』

突き当りを曲がった瞬間、何かが両手首両足に絡みついた。その何かが何なのかを見ようとすると即座に首に巻きつかれ、身動きを封じられる。


「これは面白い侵入者だ」


………そして、耳元で声がした。
目だけを向けると、舌を出した糸目の男がニンマリ笑っていて、その男の体に何匹もの蛇が絡み付いているのが見えた。綾芽は自身の身動きを封じている正体がわかった。


「そいつ……煌李家十九代目当主煌李綾芽か?優」

「そうみたいだネ。俺らの一個下の」


正面の空間がブレた直後、もう1人男が現れる。男といっても2人とも男子生徒なのだが、相当な魔術師なのは間違いないだろう。
だが、綾芽も顔色一つ…というか表情一つ変えず、ただただ蛇に絡みつかれ縛られている。


「さすがは煌李家か。全く動じないな」

『……』

「こんな所に1人で何しに来たの?」


どうやらここは彼らの縄張りだったらしい。


『ここ………図書館じゃないんですか?』

「は」「へ」


髪で前髪が隠れた男・広尾。そして舌を出して笑っていた男・大将は思わず目を丸くして彼女のセリフを疑った。


『図書館探してたんですけど…見つからなくて』

「と、図書館だと思っては迷い込んだの!?」

「嘘に決まってる」

『本当ですよ?』


広尾を見つめる赤い瞳。そして綾芽は『だからこれ、解いてもらえませんか』と言った。


「ここに迷い込んだ以上、決定権は此方にある。お前の本当の目的はなんだ?」

『………』


____________信じられないのもわかる。
でも、信じてもらえないのなら仕方ない。




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