番外編
□三代目ご乱心!?
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ー広間ー
「そういやぁ初代なんざぁすげぇ遊び人だったのにリクオには浮いた話ねーなぁ…」
「そうですねぇ…鯉伴様も遊び人でした…」
一つ目と首無の言葉に周りの妖怪達がざわめきだす。
リクオと高嶺の関係を知る者は意外と少なかった。高嶺が恥ずかしがり屋な事もあいまって、本人達以外は初代と牛鬼、若菜と毛倡妓と氷麗くらいなもんだった。
「リクオ様…結婚したい女子などいないのですか?」
「そうですよ」
カラス天狗の言葉に黒田坊と青田坊が同意する。
「やはりあのカナとかいう人間ですかい!?」
「それとも一緒に戦った…ゆら!?」
「いやいやもしや妖怪の中に意中の人が!?」
「オオ!!そりゃ一体誰じゃ!?」
「やっぱ雪女だろ」
「いやあえて毛倡妓」
「あえてって何だよ」
「いやいや、高嶺嬢という線も…」
それらの言葉を無視して盃を傾けるリクオ。そのままのらり、くらりと外へ涼みに出た。
「クールだなぁリクオ様は…」
「ホント…身をくずされねぇ…」
そのまま外で涼んでいると、羽織を持った毛倡妓がリクオへ声をかけた。
「おやリクオ様…寒いですよ夜は…羽織をお召しになられては?」
「すまねぇな…毛倡妓…やさしいねぇ もっと近くで温めてくれてもいいんだぜ?」
トロンと妖艶な瞳を惜し気もなくさらすリクオは普段のポーカーフェイスはどこへやら。
ザワリと辺りが騒然となり、我らが主の動向を見守る。
「さーさ美!もう帰んのかよ…つれねぇな…一緒に飲めよ」
「な…な…三代目ぇ!?おたわむれを!?」
「どうなってやがるんだ?」
「あ!!あれは!!」
「ありゃあ…"妖殺し"と呼ばれる超強力な妖怪酒!!」
そんな中、タイミング悪く彼女がお酒を持ってやって来たのだった。
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