番外編

□もしも
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『…あの、いい加減に…』




私の存在もどこへやら、二人は言い争いを始め、だんだんどちらがカッコいいかという話になってきた。



もはや収集もつくまい…。ぬらりひょんさんも鯉伴さんと張り合う為に、あの若い姿へと変わった。



三の口さんは二人の剣幕に恐れて逃げていってしまった。



私も連れていってくれればいいのに…。小さな裏切りにあった私は、二人の言い争いを左から右へ聞き流している。



すると救世主…もとい、リクオくんがあらわれた。



「もう、じいちゃんも父さんも何やってるんだよ高嶺を挟んで…」



「おー調度いいところに来た!リクオ」



「お前はオレと親父、どっちのがカッコいい闇の主だったと思う?」



「はあ?」



リクオくんは私をチラリと困ったようにみやる。その目が説明してと訴えていて…。



『さっきからこの調子で』



何がなんだか、と続けるとリクオくんは盛大にため息をついた。



「…どっちもボクにとっては憧れの闇の主だよ…それじゃダメなの?」



その言葉が嬉しかったのか、二人は途端に嬉しそうな表情になった。



何だかんだで孫バカ、親バカなんだなぁと、思いつつお茶を持って立ち上がる。はぁー、やっと解放されたとばかりに前に進もうとすると、何故か後ろ手を引かれている。先をたどると、それは鯉伴さんで…って、



『……なにか?』



「んで、高嶺ちゃんは誰がいいのかな?」



『………え?』



「…そりゃ聞き捨てならなぇな」



気付けばリクオくんまで妖怪化して、私の目の前に歴代当主が、がんくびを揃えた。




『………えーっと?』



「さあ、高嶺」



「高嶺ちゃんは誰が一番」



「カッコいいと思うんじゃ?」



息の揃った三人に詰め寄られ、血は水よりも濃いという言葉を思い出したのだった。



『……なんで、私に聞くんです?』




「「「面白いから」」」




勘弁してくれ。




そりゃ、三人並べば眼副もんではあるけど…無駄に華のある絵面になっている。カナちゃんや氷麗ちゃんが見たらきっと鼻血ものではないだろうか…。



しかも慌てる私をからかって遊んでる節も見受けられる。



全くもって厄介な親子だ。



大体、誰が一番カッコいいって…子供かっ!みんな血縁なんだから似ていて当たり前。みんなカッコいいし、魑魅魍魎の主としてだって申し分ないじゃない。何を張り合っているのかしら…。



『誰が一番カッコいいと言われても…一重にいいますけど、色んな意味があるでしょう?


ぬらりひょんさんは奴良組を創設した初代だし、


その奴良組を大きくして盛り上げたのは二代目鯉伴さん、



そしてリクオくんは鵺を打つため全国の百鬼をまとめた三代目…



誰をとったってかっこよくない訳ないでしょう?』



そういい放つと、呆然とする三人。戻ってきた三の口さんが若菜様が私を呼んでいると教えてくれたので、さっさと踵を返して立ち去った。




「かーっかかかかか!かなわんのぅ」



「簡単にオレ達三人丸め込んじまったな」



「違ぇねえ…」



「ちょっとからかってやるつもりじゃったんに」



「魑魅魍魎の主達を手玉にとるたぁ…さすがオレの女だぜ」



「うらやましいねぇ若ぇのは」




若菜様のお手伝いに行った私には、そんな会話が成されたことなど知るよしもない。







END
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