黒バス短編
□その項にキス
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そんな日が、ずっと続くと思ってた。
赤司君が豹変するまで…は。
赤「もう君の血はいらない」
紫原君との1on1の後、突如告げられた言葉だった。赤いルビーを宿していた両目は片方が金色に変わり、赤司君は勝利への権現と変わった。
それだけ告げると赤司君は空き教室を颯爽と出ていった。
赤司君が去った後からじわじわくるこの気持ちは、何…?私は一体何を勘違いしていたんだろう…赤司君が求めていたのは私の血であって、私ではないという事実が思いの外ショックだったらしい。
最初から特別などなかったというのに
…一体、何を勘違いしていたんだろう。
その時カラリと軽い音をたてて空き教室に入ってきたのは同じクラスの黒子君だった。
黒「…すみません、通りかかったら話が聞こえてしまって…大丈夫ですか?」
『……………うん、』
黒「赤司君の供給者は真白さんだったんですね」
『……供給者?』
聞きなれない言葉に首を傾げると黒子君は丁寧に説明してくれた。
黒「実は何の因果かキセキの世代と呼ばれる彼らは全員が吸血鬼なんです」
『………全、員?』
黒「…はい、僕は黄瀬君の供給者なんですが…」
だから、か。あの時…指を怪我した時に気を付けてと言ったのはそういう意味だったんだと理解した。
怪我をしないように…ではなくて、彼らはみんな吸血鬼だから気を付けて、という意味だったらしい。
黒「以前は稀に赤司君にも供給していました…けど最近は何も言ってこなかったので供給者が見つかったんだと思っていたんですが…」
黒子君の言わんとしている事を察し、その先を彼に言わせないように口を開いた。
『…もういらないみたいだね』
出来る限りの笑顔を向けて、優しい彼に気を遣わせないように。
私はこの気持ちを、終わってから自覚した。
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