HQ短編
□烏野っ!
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「高嶺ちゃん」
『あ!潔子先輩』
「今日委員会があって部活遅れて行くんだけど…大丈夫?」
『大丈夫ですよ!何かやっておく事とかはありませんか?』
「…そうね…注文していたコールドスプレーが先生の所に届いているみたい。もし時間があったら部活が始まる前に使わない分を部室にしまっておいてくれると助かるわ」
『わかりました!HRが終わったらすぐに行きますね!』
「ふふっ ありがとう」
こんにちは。久世 高嶺です!
昼休み中、運命的にも潔子先輩に出会いました。私の女神様は今日遅れて部活に参加されるようなのです。
なので私は女神様のお留守をお守りする為に張り切って選手の皆さんのサポートをしたいと思います!
ー放課後―
ドサッ
『ふーっ!』
結構まとめて注文したんだなぁ…。でも、ないと困る物だしきっと安売りしてたんだろうな!
私は部室の扉をノックして誰もいない事を確認すると、鍵を開けて部室を見渡す。コールドスプレーの在庫を探しているのだが、中々見つからない。
…おかしいなぁ。確かこの辺にしまってあったはずなのに…。私は視線を宙にさ迷わせると、ロッカーの上に置かれた段ボールにコールドスプレーと書かれた物を発見!
『あ!あった』
私は椅子をロッカーに添えて設置し、ロッカーの上の段ボールに手を伸ばす。
…が、しかし。
『っ……と、どかな…いっ!!』
ど、どうしようっ!椅子の上に立ってるんだよ私っ…!+目一杯背伸びしてるのにっ!
『あと…っす、こし…っ「ちょっと」ひゃいっ!!』
急に声を掛けられてびっくりした私は椅子を踏み外しそうになった、…所を誰かが後ろから片手で支えてくれたみたいだった。
「うるさいんだけど」
「久世さん大丈夫?」
『月島くん、山口くん!』
なんと、私を支えてくれたのは月島くんだった。
『あ!ごめんね月島くん‼支えてくれてありがとう!今ので怪我とかしなかった!?』
そう聞くと月島くんは呆れたように溜息をついた。
「それ、こっちの台詞なんだけど。怪我してないの?」
『私は大丈夫です!月島くんは?』
「僕は支えただけなんだから怪我なんてするわけないでしょ」
『そっか!よかったー!』
私達の会話に苦笑いした山口くんに今まで何をしていたのか聞かれてしまった。私は苦笑混じりに目線をロッカーの上に持っていくと、憎い段ボール箱を見やった。
『あれをね、取ろうとしたんだけど…』
「コールドスプレー?」
「…あぁ、それで椅子まで使ったのに届かなくて唸ってた訳ね」
ぷっと小バカにしたように月島くんに笑われてしまった。
そりゃあね、月島くんくらい伸長があれば無縁の悩みだろうけどね…。
「ほら」
な、なんと!私が落ち込んでいる間に月島くんが目当ての段ボールをとってくれたらしい。
椅子も使わず(ここ重要)軽々と段ボール箱をとって私の足下に置いてくれた。
なんだかんだ言うけど本当は優しいんだよね!知ってる!
『ありがとう月島くん!』
「別に。着替えるんだから用済ませてさっさと出て行ってよね」
「ツッキー…何もそこまで…」
『あ、そうだよね!ごめんね邪魔しちゃって』
久世さんはツッキーの事もう少し怒ってもいいと思う、と山口くんがぼそりと言った気がした。
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