黒バス短編
□確信犯
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漸く書類の山をやっつけて居酒屋に駆け込むと、当たり前だが懐かしい面々が顔を揃えていた。
桃「あっ、高嶺ちゃーん!待ってたよ〜お仕事お疲れ様!」
『…さっちゃん、好き』
私の癒し、さつきが可愛い笑顔で両手を広げて出迎えてくれた為、遠慮無しに抱き付く。はぁー癒されるー。
黒「お疲れ様です真白さん」
火「おう、お疲れ!」
『久しぶり〜二人もお疲れ様〜』
さつきに抱き付きながら力なくかつての同級生に手をふる。ちなみに高校は誠凛出身だ。
緑「あの量をこの時間に終らせたのか…」
『人間、死ぬ気になればなんでもできる』
グッと親指を立てると緑間君に呆れられた。何故。
黄「高嶺っち久しぶり〜!会いたかったっスよー!もー全然会ってくれないんスもん!」
『久しぶり黄瀬君。世の女性を敵に回したくないから遠慮しただけだよ』
黄瀬君は今をときめく俳優さんだ。彼氏にしたい俳優ランク3年連続1位男と二人でなんて会えるわけない。ダメ、絶対。
青「黄瀬とは会うのもめんどくせーからな」
『そこまでは…。ああ、この間の試合観たよ青峰君。凄かったね!』
青「おー」
青峰君はプロバスケット選手だ。火神君もだけど、未だにお互い良いライバルらしい。
紫「峰ちんも火神もダンクばっかだからなー」
紫原君はパティシエの修行中でお菓子やさんに勤めているらしい。僅かに焼けたバターと砂糖のいい匂いがしている。
赤「久しぶり、座ったら?」
『あ、うん久しぶり。じゃあ失礼します』
私は赤司君と紫原君の間に空いていた一席に腰を降ろして鞄を膝に置いた。
紫「真白ちん飲み物は〜?」
『生ビールで』
黄「……普通20代女子ってカクテルとか酎ハイとか可愛いヤツを頼むんじゃないっスか?」
『生ビールで』
火「あー、すんません生ビール一つで!」
私が遅れた事もあり、二度目の乾杯をしてしばしば。私のジョッキは早くも乾こうとしていた。
緑「真白…ペースが早いのだよ」
『これが飲まずにいられるかっ!』
青「あ?なんだ失恋でもしたか?」
『失恋くらいでやけ酒なんかしない!』
黒「いっそ清々しいくらいの男らしさですね」
『ありがとう』
赤「…今のは女性への褒め言葉ではないよ」
黄「じゃあどーしたんスか?」
緑「仕事で色々あるのだよ」
火「あー、緑間は真白と同じ会社だったか」
赤「緑間は定時で真白が残業というのも可笑しな話だが…今日は残業しない日だったんだろう?」
緑「………」
『ちょっとミス、があってね』
嘘は言ってない。上司とのいざこざは"ちょっとしたミス"だ。
そこからみんなの近況を聞いたり、また次はいつ集まろうかなんて話をしたりした。凄く楽しくて、気付くと結構飲んでしまっていた。
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