黒バス短編
□その項にキス
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赤「真白、昼一緒に食べないか?」
『……いいよ』
昼休みが始まってすぐ、赤司君が教室にやってきた。教室内に学年1位2位を争うモテ男が揃った事で、クラスメイトの女子達は沸騰しそうな程興奮している。
黄「あれ、赤司っち!」
赤「やあ黄瀬」
黄「真白っちとご飯って…いつからそんな関係に!?」
『…部活の諸連絡しながらご飯食べるだけだよ』
黄「なあんだ、そうだったんすね!」
赤「じゃ、また部活で」
分かっててやっているのが彼の憎らしい所でもある。連絡先を知っているのだから、連絡の一つでも寄越してくれれば行くのに。
私はお弁当を持って赤司君の後を追った。
赤司君と緑間君がよく将棋をしている空き教室で"ご飯"を食べるのが、段々と習慣になりつつある私達。
赤「…いいか?」
『…どうぞ』
恍惚とした瞳を私に向けて、一応許可は取ってくれる。しゅるりと私のネクタイを慣れた手つきでほどく赤司君。
最初は自分でやっていたが、いつからか赤司君が自分でやりたがり、今では赤司君が制服を崩すのが定着している。ワイシャツのボタンを三つ程開けた所で私の首筋が露になった。
両肩を掴まれ、赤司君の息遣いを首筋に感じる。この瞬間は未だに慣れる事はなく、心臓がドギマギしてしまう。赤司君の唇がそっと首筋に触れると、 ぶつりと肌を裂く音の後から甘い痛みが全身を駆け巡る。
唯一不満があるとしたらこれだと私は言える。噛むなら噛むで、もっと痛くしてくれと何度も言っているのにも関わらず、赤司君は首を縦に降らない。
じゅるっと耳元で血を啜る音が聞こえ、ぞくりと身体が震える。赤司君は首筋に垂れた血をゆっくり舐めとり、噛み痕を丁寧に舐めると何事もなかったかのように痕をキレイに消した。
いつもはこれで終わるのに、今日は少しだけ違った。そのままはだけた首筋にコツンと額をつけると、赤司君は静かに目を閉じた。
『…赤司君?』
赤「…真白はいい匂いがするね」
…いい匂い?
赤「吸血鬼は、匂いに敏感なんだ」
香水なんて鼻が曲がりそうになる。微かに笑いながら言う赤司君はまだ私の首筋から動こうとしない。
赤「…真白には甘えっぱなしだね。これでも申し訳ないと思ってるんだ」
…甘えられてたのか、それは気付かなかった。申し訳ないだって?あの赤司君が…。彼らしくない科白に心の中で苦笑した。
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