たんぺん!

□嫉妬ぐらいする
2ページ/4ページ




「で?言い訳があるなら聞こうか」



ここは高天原。毘沙門天様の城内で兆麻の私室だ。あれから私は兆麻に強制送還され、ここまで引きずられて連れてこられた。



『…………』



「言い訳もなしか?お前は相変わらずだな。僕と同じ祝の器でありながら何故ヴィーナを裏切りかねないような真似をするんだ?」



あ、ダメだ…



『……兆麻だって、雪音くんに術を教えてるじゃん』



言っちゃいけない



「僕はちゃんとヴィーナの了解を得ている」



止まって…



『私だって!…ちゃんと主様に伝えてる…主様だって分かってくれてる!なのに、兆麻は…』



ダメ、



「っとにかく、もう小福様の処に行くのはやめるんだ」



どうして…?私はただ、主様と夜トにちゃんと仲直りして欲しかっただけなのに…



そう思うのは、そんなにいけない事……?



『っどうして、頭ごなしにダメって言うの?そんなに私のやる事が気に入らない!?』



だ、め…



「っあぁ、そうだ!」



っ!



兆麻の大声の肯定に、ビクリと肩が震えた。目の前が真っ白にでもなったかのように何も見えなくなっていく。



はは、なんだ…。本当に嫌われていたんじゃないか…。



どうして今まで、気付かなかったんだろう。



『………本当は私の事なんて、ずっと嫌いだったんでしょ…』



「は?」



『いつも、私にだけ冷たくあたるもんね…』



「な、なんで急にそんな話しに…」



『…本当はあの時っ、麻の一族の皆と一緒に死んで欲しかったんでしょっ!!』




「っっ!!」



ぱぁんっと、音が鳴った時…何をされたのか分からなかった。



気がついたら、私は壁に背を預けていて…



口の端から血が滲んでいて…



あぁ、殴られたのだと 理解した。



「あ……蒼麻……」



兆麻はびっくりした顔のまま硬直していた。私は無言で兆麻の部屋を出ると、自室までは泣くもんかと唇を噛み締めた。







.
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ