たんぺん!
□下心がなきゃ添い寝なんかしない
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悪魔の子だ……悪魔の子が来たぞっ!!
お願いっやめてぇええぇ!!!
この子だけは…お願い、助けて!!
何故あんな奴の言いなりになる!?
高嶺…………俺を、……俺を裏切ったなぁああああ!!!
『はっ!!はぁ…はぁ…』
なんて夢見が悪いのだろう…久しぶりに見た。
ルフィ達に出会ってからは、こんな夢見なくなっていたのに…一人で生きて行くのが当たり前だったのに…こんなにも、拠り所になっていたなんて。
…早くみんなに会いたい
再び眠る気にもなれず、私は昼間の甲板に出てきた。夜の海は全てを飲み込んでしまいそうで…私も飲み込まれるのかな、なんてらしくもない事を思ってしまった。
ロ「おい」
『っ!』
ロ「男だらけの船で女が夜に出歩くんじゃねえ…って、なんだお前泣いてんのか?」
『……え、…あ、ホントだ』
トラファルガー・ローに言われて初めて自分が泣いている事を知った。
ロ「海賊がメソメソしてんじゃねえ。女だからって特別視されてぇのか?」
『……は?そんなわけないでしょ』
そこからパタリと会話がなくなってしまった。トラファルガー・ローは相変わらず黙って隣に立っている。私が部屋に戻るまで監視するつもりなんだろうか…。
ロ「…お前」
『…?』
ロ「海となんか関係あんのか?」
『………どういう意味』
ロ「この辺の海域は風が吹かねえはずだ…だが今日はこんなに風が吹いている、しかも"調度いい風が"だ」
『………』
ロ「別に言いたくなきゃ聞きゃしねーよ。ただ気になっただけだ」
『………私に親はいない』
ロ「………?」
『どうやって産まれたのかもいつ悪魔の実を食べたのかも、知らない。だけど私は悪魔の実の能力者、なの』
『私を拾った人は私は水のベールに守られるように包まれていた、と言っていたわ』
『だからかどうかは知らないけど、多分水の悪魔の実なんだと思う』
ロ「…水?つまりお前は自然系(ロギア)って事か?」
『…まあ、そうなる。んで新世界なんて悪魔の実の能力者がほとんど…つまり水…海すら扱う事ができる私は人であっても悪魔の実の能力者であっても向かう所敵なしってこと』
ロ「…んで、それが麦わら屋達に闘う姿を見せられない理由と関係があんのか?」
『……鋭い男は嫌われるよ』
ロ「ほっとけ」
『……対悪魔の実の能力者において、私は追随を許さない…つまり海賊にとっても海軍にとっても』
ロ「喉から手が出る程欲しいってか」
『そゆこと。…だから、水の自然系(ロギア)以外の私を見て欲しかった…私という人間を認めて欲しかった……けど、誰もそれを認めてはくれなかった』
『みんな水の自然系(ロギア)が欲しかっただけ』
『別にルフィ達を信じてない訳じゃない。バラしたところでなんだそんな事かって言われる事くらい目に見えてる。それでも見せない、言わないのは…まあ、期を逃したのが大きいかな』
不思議だ……麦わらの一味の誰にもこんな話できなかったのに…どうして私はこいつに、トラファルガー・ローにしゃべっているのだろう…。
ロ「…人間生きてりゃ言いたくねぇ事の一つや二つはある…別に仲間だからって何でも言えばいいってもんじゃねえだろ」
……これは、慰めてくれているんだろうか。
『っふ、ふふふっ』
ロ「……何笑ってやがる」
『っふふ…ごめん、慰めてくれたのかなって思って』
ロ「切り刻むぞ」
『へぇ、やってみる?』
挑発的に見つめると、トラファルガー・ローは長いため息をついた。
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