たんぺん!

□下心がなきゃ看病なんかしない
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…うかつだった。 ワノ国へ向かう途中、ハートの海賊団の懸賞金を狙った海賊狩りと交戦した。私は麦わらの一味だがハートの海賊団とは同盟関係。シカトしている訳にもいかず、嫌々交戦に参戦したのがよくなかった。

まさか敵の中に毒使いがいようとは、誰が予想しただろうか。(予想はできなくても想定していなければいけないけど)

水の自然系である私は大抵の攻撃は避けるのも面倒だからって、体を水にして攻撃を凌ぐのがセオリーだ。

だけど、ルフィにとっての刀のように私にとっては毒が鬼門。体内の水と混ぜようものならたちまち全身に毒が回ってしまい、完全に体外に出しきるまで長い時間を要してしまう。

つまるところ、私の弱点は毒物だったりするのだ。

交戦後、ぐらりと視界が揺れた。咄嗟に壁に手をついたが視界は揺れたままだった。もしかしたら神経毒の類いかもしれない。

揺れる視界の中、心配そうな顔をしたシロクマさんと目があった。

「どうしたんだ?大丈夫か?」

『………大丈夫、他の怪我人の対応をしてあげて』

しっしと怪我人の方へ追いやるとチラチラ気使わしげにこちらを見ながら怪我人の元へ行った。

外見は熊だが、彼はとても優しいのだとよく分かる。

フラフラしながら自身に宛がわれた部屋に入るとベッドへ直行し、取り敢えず寝る事にした。目が覚める頃には毒が薄まってるといいな、と希望を持ちながら…。


そうしてどれくらい眠っただろう。視界の揺れや身体の怠さはもう殆ど感じない…訳なかった。

さっきよりも格段に悪くなっている。こういう時は良くなるまで部屋に閉じ籠るのが一番だ。毒のせいで気分が悪いしお腹は減らないからまあ、問題はないだろう。私は再び眠りについた。


次に目を覚ました時、私の腕には点滴が繋がっていた。これは一体どういう事なんだろう。きょろりと辺りを見渡すと、自分の部屋でもない事に気がついた。

そして私が寝かされているベッドにもたれ掛かるようにして眠るこの船の船長がいた。


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