一私の使命―

□出会い
1ページ/7ページ

鈴蘭「ん……?」

まだ意識が朦朧とする中、踏ん張って身体を起こしてみると……そこには見たことのない景色が広がっていた。

鈴蘭「えっ……ここ、どこ?結愛は???」

私は咄嗟にスマホを出してはぐれた結愛に電話をかけようとする、が。

鈴蘭「けけ、圏外ィ!?」

ちょっと待ってよ…どこなのよここ!
見ると自分の服は学校の制服のまま、カバンだってここにある。

もしかしたらこれはタイムスリップしたのかと本気で思い始めるが、この服を見るとやっぱりそんなことある筈が……でも街灯も無い車も無い、人っ子ひとりいない…どうなってるのかさっぱり分からない。

と、その時。

「……お前は、選ばれ……し、者…。使命を果たす……者だ……」

どこからかそんな声が聞こえてくる。

鈴蘭「……!?あなたは誰!?どこにいるの?私を元の場所へ返してよ!」

夢中になって大声で叫んでいた。しかしそれに対しての返事はなく……

「彼らの向かう道を、照らしてやってくれ……」

鈴蘭「何!?何の話……?」

また、その時。何か金属同士がぶつかり合う音がする。
その音はだんだんこちらまで迫ってきた。

私は咄嗟に建物の影に身を隠し、そっと覗いてその様子を確かめる。

すると……爛々と赤く光り輝く瞳を持った誰かが、刀についている血を舐めていた所、今、もうひとりの誰かに刀を振り下ろされたところだった。

隊士一「ぎゃあああああっ!」

ザシュッ……

鈴蘭「……っっっ!!」

当たりに血飛沫が飛ぶ。
私は口を手で抑え、涙目になるもその光景から目が離せないでいた。今1人、私の目の前で人が息絶えた。

恐怖でその場から動けない。
本当は逃げたかった。『何か見ちゃいけないものを見た気がする……』いつか何処かで見たような気がするのだ……この景色を。

その瞬間、背筋に悪寒が走る。

鈴蘭「!!」

ゆっくりと後ろを振り向くと、そこには私に向かって刀を向ける誰かと、それをじっと見つめる2人がいた。

??「動くんじゃねぇ。逃げようとしたら、てめぇの命はないと思え。」

??「この子、どうします?あれ、見ちゃいましたよね……?」

??「俺は全ての判断を副長に任せる。」

鈴蘭「(副……長……?)」

今までに無い感覚に襲われた私は、またもや意識を手放しその場にくずおれた……
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ