一私の使命―
□池田屋事件!
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夕餉の支度をしながら考え事をしていると、矢張り頭に浮かぶのは一昨日聞いたあの声のことだ。
鈴蘭「私が、みんなの道しるべになればいいってことなんだよね。」
だって、新選組が向かうこれからの道は今は私しか知り得ない。
だからこそ、すべてを知っている私が、彼らにとって最も良い方向に導くのが使命なんだ。
頑張ろう。
私に出来る精一杯の事を。
そう決めた。
────すると。
廊下をせわしなくドタバタと走り回る音が聞こえた。
思わず野菜を切る手を止め、後ろを振り返ると。
土方「新八!あいつはどうした?」
永倉「おう!土方さん!やっと洗いざらい吐いたぜ!今から出る準備をする!」
土方「任せたぞ!」
そう言って厨の前を通り過ぎていく。
永倉さんは通り過ぎる時、私に向かって、
永倉「ああ、鈴蘭ちゃん。今日の晩御飯はいらなくなった。すまねえな。折角準備しかけてくれてたのにな……」
とだけ申し訳なさそうに言うと、そそくさとその場を去ってしまった。
────ついに来た。池田屋事件だ。
多分捕縛されたあの浪士らは古高俊太郎たちなのだろう。
池田屋事件、と、いうことは……
私は急いでその場を片付け、自室へと戻り沖田さんから貰った打刀を腰に差して皆の集まる広間へと走った。