一私の使命―

□池田屋事件!
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広間に入ると、既にほかの幹部の人が全員揃っていた。

私が来たことに近藤さんが気づき、

近藤「おお、鈴蘭君ではないか。丁度今探しに行こうと思っていたところだ。
さて、何かこれから起こることについて知っていることはあるかい?」

近藤さんは私が緊張している事を察し、穏やかな声で訊いた。

鈴蘭「はい。今の段階では、意見が池田屋か四国屋に分かれているかと思います。本当の会合場所は……池田屋です。」

その瞬間広間がにわかに騒がしくなる。

土方「よく聞け!池田屋に主要の戦力を集める!念のために四国屋にも隊を配置する!
池田屋には……近藤さん、一番組 総司、二番組 永倉、十番組 原田で向かってくれ。
四国屋には俺と平助と斎藤の隊で行く。」

皆はそれぞれ指示を聞き終えると隊員を引き連れて屯所から出ていく。

鈴蘭「土方さん、私はどうすればいいですか!?」

土方「とりあえず、勝手に動かれると困る。……伝令役になってもらえると助かるな。山南さんと屯所に残って必要のある時は動け。」

鈴蘭「はい!分かりました!……ご武運を。」

土方「ああ。」

そう微笑むと土方さんは立ち上がり広間を出ていってしまった。

私は山南さんと2人きり。流石に2人ではここが広すぎるように思えてくる。

あの後山南さんは大阪出張で傷を負うことも無く、無事にここに帰ってきてくれた。

心の底から安心した。

山南さんは私の未来のことを興味深そうに聞いてきた。未来に武士はいるのか、どんな道具が普及しているのか……山南さんらしいなぁ、と思った。
2人で話し合っている時、私は皆のことが心配でならなかった。そう思ったところで勝手に動いても皆を困らせるからその場から動かないのが一番だ。

そんな複雑な思いで過ごす時間が、どれだけ過ぎただろうか。

ガタっと外で音がしたかと思えば、山崎さんが駆け込んできた。

山崎「総長!ご報告します!会合場所は、鈴蘭君の読み通り、池田屋であると」

山南「やはり鈴蘭君の予想と一致しましたか。
山崎君について土方君たちのいる四国屋へ伝えに行ってはくれませんか?」

鈴蘭「……!はい!私でよろしければ是非行かせてください!」

山崎「ああ。必ず俺の後を付いてきてくれ。でないと迷子になってしまう。」

山南「頼みましたよ、鈴蘭君。」

鈴蘭「はい!」

胸の中になんとも言えない気分が込み上げてきて。『絶対に皆の役に立つんだ』

そんな思いを胸に私は山崎さんに付いて四国屋まで走った。
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