*web拍手御礼小説*
猫の恩返し @
にゃー。
にゃー。
にゃー。
猫が、泣いてる。お腹すかせて、寒さに震えて、生きていることを必死に伝えようと、哭いてる。
あぁ、抱きしめてあげなきゃ。
だって。あの子は。この前見かけた白猫の親子の。
「お母さん、死んじゃったの。」
ガバッ
「はー・・・はー・・・夢?」
視界に広がるのは、見慣れた自室だった。暗くて冷たいジメジメした路地裏なんかじゃない。
でも、なぜだかすごくリアルを感じた・・・
あの猫は数週間前に轢かれそうになってたのを助けた子猫だった。助けたのは偶然居合わせた男性であって私ではないが・・・
でも念のため怪我がないか病院に私が連れていったのだ。
助けた男性は、
「親猫に子猫の無事を伝えに行く。」
と言ってそのまま会うことはなかった。
驚きなのは後日子猫退院時に母猫らしき猫が病院前に迎えに来ていたことだ。
子猫を抱えて出てきた私を見てまるでお礼をいうかのようににゃーんと足元に擦りついてきた。
それを見て踏まないようにしゃがみ子猫を下すと子猫もみゃーと愛らしく鳴いて、二匹ともそのまま走り去ってしまったのだ。
突飛すぎた出来事に、忘れることができずにたのだが・・・
瞼を閉じればすぐに浮かぶ。きれいだった白いふわふわの毛並み。
でも夢の中では煤けて汚れていて。暗い中目を凝らしていたから分かったことだけれでも腹部には赤い何かが見えていた。
・・・あれは、本当に夢だったのだろうか。
「まさか・・・ね。」
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