薔薇色のカクテル

□2章 突然のご指名
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貴「え? 指名って?」

急に仲のいい先輩の女性スタッフから、トントンと肩を叩かれて言われた。

女スタ「うーん、何かよく分からないけど、アンタも1人前の店員になったってことだよ!」
貴「あ、あの、私まだお店の中で働かせてもらったこと、ないんですけど…。」
女スタ「そうなんだよねー。あの人、どこでチェリシーちゃんの事知ったんだろう…。」

そう言って悩み込む女性スタッフ。
私はそんな女性スタッフを見て、ふと思った事を聞くために、口を開いた。

貴「あ、というか、その人ってどんな人なんですか?」
女スタ「えっとねー、ほら、最近よくうちの窓側の席にてた男性だよ。で、毎日うちの女性店員を口説きまくってるっていうねー…。」
貴「最低ですね。私は次の口説き相手ということですか。 張り倒してきますね!」

私は笑顔でそう言いながら、右手を上げて拳を力強く握った。


殺意剥き出しでスタッフルームを出ると、そこには、彼がいた。
先日、今座っているのと同じ席に腰掛けて、机に頬杖をついて窓を眺めていたあの人だ。
髪型も、髪の色も、着ている服も、全く同じだった。私はその人に、また目を奪われてしまった。

そして……

女スタ「あ、言ってなかったね! その人の席、12番の席だから。」
貴「え?」


私が【最低】と言った男は、正しくその男だった。
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