色々な松

□六つ子は携帯を持つようです
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東京都赤塚区にある松野家。
その六つ子の兄弟は平日にも関わらず部屋でそれぞれ寛いでいた。

「あ、やばい。バイトの時間だ!
十四松兄さん、行ってくるね!」

末弟トド松が弄っていたスマホの時間を見てドタドタと部屋から出ていった。十四松はその背中に手を振る。


「・・・いやなんで十四松だけに言うの?俺達もいるのに〜」


おそ松の声にうんうんと頷く3人。
十四松はあはーと笑っている。


「・・・俺も、携帯ほしい」


一松がボソリと呟いた。
意外な人物からの意外な発言に皆一様に一松を見遣る。
一松は自分を見つめる兄弟に首を傾げた。


「(可愛いぜmyhoney!!)いきなりどうしたんだ?一松」

「一松がそんなこというとは思わなかったよ」

「確かに!!!」

「どうしちゃったの?一松」


好き好きに話す兄弟の言葉にたじろきながら一松は言葉を続けた。


「いや、なんか不便だなぁって。連絡取り合えないの」

基本的に家にしかいない兄弟だったが、一松とカラ松が付き合うようになってから皆出かける事が増えてきたからだろう。
一松の言葉に納得したかのように声を上げる。


「でもさぁ俺達ニートだよ?そんな金ないよ〜」

「またバイトする?」

「チョロ松、それはパス。続かないし」


んーと頭を悩ませる5人。
十四松がハッ!と顔をあげる。いつもの笑顔に4人は首を傾げた。


「お小遣いから引いちゃえばいいんだよ!!」


「「「「えぇー・・・」」」」


乗り気じゃない兄達の反応に猫目になりながら、え!え!と兄弟達をそれぞれ順番に見る。
おそ松が溜息をついた。

「そんなことしたらもーっと遊べなくなるじゃん?チョロちゃんとラブホ行けないのやだぁ〜」

「いやお前何いってんの?行ったのなんて1回だけでしょ」


「・・・いやそういうカミングアウトいらない。でもまぁ、俺も乗れない」

「そうだなぁ・・・マミーに相談してみよう!」

「いや、働けって言われるのが落ちでしょ。」


兄弟達はまたうーんと頭を悩ます。
馬鹿が知恵を寄せ集めても所詮は馬鹿なのか、なかなか案は出ない。



「・・・あ」

「どうした一松!なんかいい案ある!?」


声を上げた一松に食いつく様に身を乗り出すおそ松。他の兄弟の視線も集まる中、一松は渋りながらも口を開く。


「いやほら・・・レンタル彼女の時の金、あったよなぁって」


「「「「それだーーーーー!」」」」

「フッ、流石一松だ」

「そうと決まれば早速行こう!」


カラ松は一松の頭をワシャワシャと撫でる。一松は照れ隠しにその手を払い、おそ松の言葉で5人は携帯を買うべく家を出た。






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