色々な松

□不器用×不器用
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「・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・」


猫カフェで無言で向かい合うように座る顔のよく似た2人。
その周りを猫達がうろうろとするがそれに目もくれずに俯き、心無しか頬が仄かに赤い。
前に置かれたアイスティーの氷がカラン、と音をたてる。溶けた氷とアイスティーが分離してアイスティーが下に沈んでいる。



(・・・な、何話せばいいのこれ。どうしよう)

(猫カフェ行こうって誘われて勢いでいいよとは言ったけど何この状況・・・ど、どうすればいいの!?)


沈黙が続く2人の足に擦り寄る猫に一松はチラリと視線を移す。
手入れの行き届いた綺麗な毛並みと美しく光る真ん丸な瞳を見る。
座りながら前屈みになるようにソッ、と手を伸ばしてその頭を撫でてやる。
人に慣れているのか猫は嬉しそうに一松の手に頬を擦り寄せてきた。
猫の仕草を見て一松はつい微笑みを浮かべる。


「か、可愛いね・・・その子・・・!」


チョロ松が俯いた顔を上げ、一松の方を見つめつっかえながらも言葉を口にする。
一松は、ビクッと肩を揺らしギギギ、とチョロ松の方を向くように体を起こした。


「・・・今の、アメリカンショートヘアっていう、猫。人気あるんだ」

赤く染めた頬をマスクを上げて隠し、視線を逸らしながらボソボソ、と説明する。
チョロ松はフラフラと行ってしまったそのアメショを見遣りながら、そうなんだと呟いた。


「・・・あっ、じゃああそこで寝てる子は?」

「あれは三毛猫・・・って、見れば分かるでしょ」

「ぅ、うるさいなー・・・じゃああの伸びしてる子は?」

「あれはスコティッシュフォールド。耳が折れてるのが特徴」

「可愛いね・・・!」


ニコニコと嬉しそうに笑うチョロ松を見てニコ、と微笑む。
一松の表情を見て顔を赤くするとチョロ松はまた俯いてしまう。


「そ、そういえば・・・なんで僕のこと誘ったの?」

「・・・え、分かんないの?」


一松は氷の溶けたアイスティーをストローでクルクルと回しながらぽかんとした顔でチョロ松を見遣る。
チラリと視線を上げて一松を見てコテ、と首を傾げた。


「っ・・・、これデートのつもりなんだけど。」


チョロ松から視線を外しアイスティーを1口飲み、ふぅと息を吐いて照れたように言う。
その顔はチョロ松と同じくらいに赤く染まっていた。


「え、ぁ・・・デート・・・?」

「じゃなきゃ何が悲しくて男と2人でこんなとこくるわけ・・・」


馬鹿じゃないの・・・とポツリと呟き傍らにきた猫の背中を撫でる。
チョロ松は何も言い返せずにその光景を見つめていた。


「・・・嬉しい。」
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