色松

□勘違いと嫉妬
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一松視線





雨が続くこの季節が嫌いだ。
体がベタついた感じするし、髪は余計ぼさぼさになるし。まぁそれは気にしてないけど。

朝起きるとたまたま晴れた青空が広がっていた。最近雨のせいで行けてなかった路地裏に行こうと決め、朝飯を食べる為下へ降りた。



他の兄弟は皆起きてて俺が来るのを待ってたらしい。空いてる俺の定位置に座ると、いただきまーすと声が掛かる。

「一松兄さん、何回起こしても起きないんだからぁー!」

「兄さんねぼすけー!」

末っ子が口を尖らせぶーぶーと文句を言う。・・・仕方ないじゃん、眠かったんだから。

「一松、今日予定はあるか?」

カラ松が箸を止め聞いてくる。今日は1人で猫達に会いたい気分だったからこくりと1つ頷いた。そうか・・・と少し残念そうに言うと箸を動かす。



飯を早々に食べ終え、食器を流しに戻して2階に煮干と猫缶を取りに上がった。
誰も部屋にはいなくて、布団はいつの間にか片付けられていた。多分チョロ松兄さんが片付けたんだなぁ。

煮干と猫缶を持って家を出た。













久しぶりに来た路地裏。
昨日も雨が降っていたからか、路地裏にいくつも出来た水溜りを躱しながら進む。
はぁ、サンダルで来るんじゃなかった。


「久しぶり・・・」

水溜りだらけなのに寄ってきてくれる猫達。可愛い。1匹ずつ撫でてやった。可愛い。猫缶を開けて地面に置けば一斉に群がる。可愛い。

「雨じゃなきゃな・・・毎日でもくるんだけど・・・」

『こんにちはっ』


突然後ろから若い女の声がした。びっくりして頭だけ振り向くと黒髪ショートの可愛らしい女の子が立ってた。多分、俺と歳は大差ない。

「ぇ、あの・・・だれ・・・」

『私もたまにここにきてこの子達にご飯あげてるの!』

にこっと微笑むその子。前までならどきっとしたんだろうけど、生憎今は全くない。

『貴方もよく来てるよね?最近は来てなかったみたいだけど』

にこにことしながら俺の隣に座り込む。猫達がご飯を食べ終わったのかにゃーにゃーと足に擦りついてくる。隣の女は気にしない様にして煮干を一掴みずつ置いてやる。また猫達は群がる様に貪り始めた。可愛い。

『貴方、この辺りの人?猫、好きなんだねっ!』

「ぇ、まぁ・・・好き、だよ・・・猫」


どの種類の猫が好き?とか子猫可愛いよね!とか凄い話しかけてくる。猫の話は嫌いじゃないから相槌を打っておく。

『そういえば!恋人とか、いるの?』

唐突にそういう話になる?だから女ってよく分かんない・・・。恋人・・・カラ松、の事でいいんだよなぁ。

カラ松の事が最初に頭に浮かんだ途端、顔が赤くなるのが分かる。顔が熱い。

「いる、よ・・・」

『ふふ、貴方恋人さんのこと好きなのね!』



「・・・ぅん、すっげぇ好き」









「おい。」
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