色松

□早く起きた朝は
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ふと目が覚めた。
なんでか分かんないけど・・・
隣見たらまだカラ松も他の皆もイビキかいて寝てた。
仄明るい部屋、多分まだ朝方。4時とかそんなん。

完全に目が覚めた俺はゆっくりとカラ松を起こさないようにして布団を抜け出して部屋を出た。



「父さんも母さんも起きてねぇ・・・」


もしかしたらと思って居間を覗いてみたけど、やっぱ誰も起きてない。
いつも最後まで寝てる俺がなんでこんな早くに・・・
心の中で悪態つきながら、散歩でも行こうと玄関の戸をそぉーっと開けて外に出た。


「涼しいな・・・意外と」


この季節だからか寒くはなかった。
かといって暑いわけでもなくて俺には丁度いい気候。

とりあえず歩こうと思って川の方にでも行こうと決め歩き出した。


「だーれもいねぇな・・・」

いつもは人が賑わってる道には誰もいない。
シャッターは全部閉まっててまるで自分がこの世界でたった1人なのかという錯覚に陥るくらい、閑散としていた。


川に行く途中にいつも行く路地裏をチラッと覗くと可愛がってる猫達が身を寄せ合って眠っていた。
その様子が微笑ましくなって、やっぱり1人じゃなかったって安心したのもあって足取りが軽くなった。


「・・・やっぱカラ松起こせばよかった」


1人は慣れていたが最近はカラ松とずっと一緒にいたせいかどこか寂しさを感じる。

そんな考え事をしながら歩いていたらいつの間にか川原に着いていた。
吹いた風が少し冷たくて薄着で出てきた俺には寒かった。

川辺の草むらに腰を下ろして持ってきていた煙草を咥え火をつけた。

ジリジリと音を小さく上げながら燃えるそれをただぽけーと見つめる。
ふぅ、と吐いた紫煙はゆらゆらと上へ上っていきやがて空気の中に消えていった。



「やっぱサミシイわー・・・」

ヒヒと自嘲的な笑みを浮かべる。
そのまま後ろにゴロンと大の字に寝転んだ。再び煙草を吸い、ふぅと紫煙を吐く。真上に上がっていく煙を意味もなく眺めていた。



「っ、一松!!!」

「!?・・・え?カラ、松・・・?」


頭上の方から聞きなれた声がした。
上半身を起こして声がした方を見たら、ゼェゼェと肩で息をするカラ松が立ってた。

「お前っ・・・こんな早くにいなくなって・・・!」

話しながらズンズンと俺の方に大股で歩いてくる。何となく怒ってる気がする。

「心配したんだぞ一松・・・っ」

膝をついて、俺をギューッと強く抱き締めてきた。俺はいまいち状況が掴めないまま煙草を持ってない方の手をカラ松の背中に回した。

「・・・なに、怒ってんの?」

「怒ってはない!ただ単に心配していたんだ!
目が覚めたら隣に一松がいなくて家のどこにもいなくて・・・帰ってこなかったらと考えたら怖くなった」

俺の首元に顔を埋め更にギュッと強く抱き締めながらカラ松はそう言った。
フッ、と笑って煙草を投げ捨ててカラ松をギューッと抱き締め返した。


「アンタ置いてどっかに消えたりしないし・・・丁度、アンタに会いたかったから・・・来てくれくれてありがと」


カラ松が顔を上げたのと同時に俺も顔を上げる。ひたいをくっ付けて見つめてたらなんか笑えてきて2人でクスクス笑ってた。

「ほんと心配症だよね、アンタ」

「一松、アンタじゃない」


カラ松がちゅ、とキスをしてまた額をくっつけ合う。



「カラ松さぁ?」







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