色松
□勘違いと嫉妬
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カラ松視線
朝飯の時に一松に振られた。と言っても恐らく路地裏に行くのだろう。さっき部屋の棚を見たら煮干がなくなっていた。
今日は俺を誘う気分じゃなかったんだな・・・
「でもなぁ」
頭に手をつけてん゛ーと悩む。行くか、行かないか。迷う。
「行って、怒鳴られたら怒鳴られただな・・・」
よし、と決めていつものperfect fashionに着替える。今日も完璧だ☆
1階に降りるとトド松がつまらなそうに手を顎につきテレビを眺めていた。
「少し、出掛けてくるぜbrother」
「その格好で行くの!?相変わらずイッタイよねぇ〜」
うわぁって顔しながらいつもと同じ台詞を言われる。この良さが分からないなんて・・・!
いってらーというトド松の声を背中に受け俺は家を出た。
道のそこらじゅうに水溜りが出来ている。昨日もだいぶ雨が降っていたから無理もない。
さて、my honeyはどこの路地裏にいるだろう
近場の路地裏を覗いたが一松の姿はなかった。もう少し遠くに行こうと歩き出した。が、それからすぐに聞きなれた声がした。
一松だ。
さっきの路地からそう離れていない所。ちらりと覗くと一松らしき紫の背中と、隣にもう一つ。
「誰だ?」
あの一松が他の人といる所など想像出来ない。見るからにその背中は女のものだったが、トト子ちゃんでもない。
心臓が嫌に跳ねる。ゆっくり、何故か足を忍ばせる様に路地に入っていく。段々と2人の声が聞こえてくる。何やら盛り上がってる様だ。
やっと声が聞き取れるところまで来た。その時だった。
「うん・・・すっげぇ好き」
横顔からでも分かるほどに頬を赤く染めて、ふにゃっとした笑顔で、その女に向かって一松がそう言った。
どうしてだ?俺がいるのに。
結局女の方がいいのか?
どうしてだ一松・・・
どくどくと苦しい程に跳ねる心臓。嫌に早く鳴る鼓動が鬱陶しい。口の中が乾く。手が震え、嫌にかいた汗が額を伝う。
「おい。」
「っ、カラ松!?」
『わぁそっくり!双子なのかしら?』
驚いた様に振り向き目を見開く一松。隣の女が俺と一松を交互に見遣る。
だが、そんなことどうでもよかった。徐ろに一松の腕を掴み引っ張る。そのままその女に背を向けその路地裏から出た。
「っんだよ!!いきなり!」
「お前こそなんなんだ」
少し歩いたところで一松が俺の手を振り解く。後ろを振り向けば俺を睨みつけてくる一松。
発した声がいつもより低かった。俺が怒ってる事が分かったのか、びくりと肩を跳ねさせて黙り込む一松。
俺はもう1度一松の腕を引きある場所へ向かい少し早く歩き出した。
もう一松は何も言わないでついてくる。
お前が誰のものか分からせてやる。