色松

□夢
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「・・・・・・つ、ー・・・松!・・・一松!」


「っ・・・!?」


遠くで声がして、ハッとなって起きた。
周りは真っ暗で他の兄弟はいびきをかいて寝ている。
隣を見ると必死な顔をしたカラ松が俺のことを見てた。


「どう、したんだ?一松・・・」

「・・・から、松?」


夢と現実の区別がつかない。
さっき、女と歩いていって・・・そうだ、俺振られたんだ。


「っ・・・泣くな一松・・・大丈夫だ、俺はここにいる・・・」


上半身だけ起こして、カラ松に抱き締められた。
え?俺、泣いてるの?
頬に触れたら確かに濡れてた。
あんな夢を見たからだなぁ、なんて頭の隅で呑気に考える。
じんわりと伝わってくるカラ松の体温が心地いい。
それが現実だと教えてくれる。

そう思ったら安心して、さっきの夢がすごく怖くなって、カラ松に強く抱き着いた。
カラ松は驚いてたみたいだったけど、俺の頭を撫でてくれる。
それが酷く安心した。


「か、らまつっ・・・どこ、にも・・・行かないでっ・・・ひと、りにっしないで・・・っ。おれ、からま、つとっ・・・いっしょ、にいたいっ・・・!」


子供みたいに泣きじゃくる俺をあやすようにトントンしながら俺の言葉を聞いてくれる。


「大丈夫だ、一松。俺は一松から離れたりしない。ずっと、一緒に、傍にいてやる。・・・いや、いさせてくれ。ずっと、愛しい俺の一松の隣に、いさせてくれ・・・」



カラ松の言葉が体を巡るように俺の中にスー・・・と入り込んでくる。
嬉しくて恥ずかしくて、俺はしゃくり上げながら何度も何度も頷いた。


「フッ・・・可愛い可愛いハニーはどんな夢を見たんだ?
俺が一松から離れるわけないだろう?」


「っう・・・お、まえが・・・男同士で兄弟だから、無理、だって・・・言って・・・さよならって・・・女と、・・・どっか行って・・・俺、1人・・・なって・・・ふ、ぅうっ」


思い出したらまた涙が沢山溢れてきた。
カラ松が慌てて俺の涙を拭って頬にキスしてくれた。


「夢の中の俺はとんだギルドガイだな・・・
こんな可愛い一松を手放すなんて、俺には出来ないぜ」


いつもの調子でかっこつけてるカラ松を見て、ふっと笑いが零れる。


「何それ・・・ほんとイタイね」


笑う俺を見て安心したような笑みを浮かべる。
その顔がちょっとかっこよくて、つい目を逸らす。


「一松・・・俺はお前を愛してる。誰にも渡さない。ずっと傍にいる・・・だから安心してくれ」


カラ松はそう言いながら俺の体を寝かせてくれる。
今日は特別だ、なんてウィンクしながら腕枕までしてくれた。


「怖い夢をみないように、子守唄歌ってやろうか?」

「それはいい・・・イタイ。
・・・でも、手・・・繋いで欲しい、かも」



右手をカラ松の方に差し出してみる。
カラ松はニコッと微笑んで左手でぎゅ、と握ってくれた。
温かいカラ松の体温が伝わってきて、段々眠くなってくる。



「おやすみ、一松・・・」


カラ松が額にキスを落として目を閉じた。
おやすみ、と小声で言って俺も目を閉じた。



なんか、いい夢が見れる・・・そんな気がする。









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