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「いや、本当なんだって!露伴先生の家へ行ったんだよ〜!」
「康一、そりゃあねえぜ。」
「おう、俺もそう思うぜ、仗助。」
「「なーっ」」
「もう、ちょっとぐらい信じてくれたっていいじゃあないか!」
時刻は午後4時。俺たち学生は、下校の時間だ。
たわいもない話をしながら、靴箱へ……。
行こうとしているんだが、今日の朝の出来事についての話で、ついつい立ち止まってしまった。
今日の朝の出来事というのは……。
                                             💘
登校中のことだった。
いつも通り、康一、億泰、俺の三人で登校していると、電信柱の近くでうずくまっている女の人がいた。
そりゃあ苦しそうにゼイゼイと息してたぜ。
後姿しか見てねぇからわからなかったけど、綺麗な紅色の髪の毛をしていた。
「……大丈夫かな……。」
「大丈夫だろ。ガッコに遅れちまうぜ。」
「……いや、大丈夫じゃあねぇかもしれねえぜ。」
女の人は激しくせき込んで、ぺたりと尻もちをついてしまった。少しだけ顔が見えた。ものすごく青い顔をしている。
……声かけてみるか。
と思って声をかけようとしたが、、康一の方が速かった。
「大丈夫ですか!?救急車か何か呼びましょうか?」
と話しかけていた。
……こういう時の康一の行動は速い。
億泰はぼーっと康一と女の人の会話を見ていて、俺はこっそり康一の分の荷物を持つ。
と、急に女の人がふらふらと立ち上がり、頼りない足取りで歩いて行った。
康一はそのあとを追いかけようとしたが、踏みとどまる。
「仗助君、」
「行って来いよ。俺たちは先に行ってるからよ。」
「そうだぜ、行って来いよ。せんせーには言っとくからよぉ。」
「うん!お願い!」
康一は慌てるように女の人の後を追いかける。
「……行こうぜ、仗助。」
「おう。」
「……なぁ、仗助」
「あ?」
「康一って、あーゆう行動ができるからモテんのかな?俺も今度、ああゆう行動してみようかな……。」
俺はそれを全力で止めつつ、学校を目指した。
これが朝の出来事。
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