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――次の日

ゴトッ
という音で目が覚める。
机の上を見ると、何枚もの紙と、つけっぱなしのパソコン、そしてパレットに、絵の具に……。
画材道具が散らばっていた。
今のゴトッという音は……。
あぁ、空のコップが机から落ちた音か。
私は昨日のことを必死に思い出す。
……帰って来て、スーツのままじゃ嫌だから着替えて、ご飯食べてから、ずっと仕事してたんだ。
化粧はしてないから……。あ、そう、風呂に入ってない。
で、絵を描いている途中に力尽きた……と。
なるほど、思い出した。
今日は休み……だったっけ?……そうだ、休みだ。
時計を見るともう午前10時を指していて、もうテレビではニュースが終わり、朝のドラマが始まるころだろう。
あぁ、体が痛い。
私は散らばっている画材道具と紙を片付けて、風呂に入ろうと立ち上がる。
……そういえば、コンディショナーが無かったような。
私は風呂場に行って、リンスにストックがあるかどうか見る。
……ない。
じゃあ、ボトルに入っている分は……。
私はガチャガチャとポンプを押す。
……ない。
買いに行かないと。
別になくても困らないけど、ないと気持ち悪いというか。
まぁ、買いに行くついでに煙草と、ライターも買おう。
私は身なりを適当に整え、リンス、ライター、煙草、ついでに朝ご飯を買う分のお金を持って、少し遠いがオーソンまで行くことにした。
                                                   💞
ガチャリ
と音がしたので、財布のポケットに鍵を入れる。
まぁ、ちゃんと鍵が閉まっていなくても、誰も来ないだろ。
と思い、特にきちんと閉まっているとか気にせずに歩きだす。
私は人混みを避けるように細い路地に入り、近道をする。
誰も居ないことを確認して、塀を飛び越えたり、柵を潜り抜けたり。
空き家の所を通っているから、大丈夫だろ。
まぁ、これが意外に楽しかったりする。
……ほら、もうオーソンが見えてきた。
私はオーソンに入り、リンスとライター、朝ご飯のクリームパンを持ってレジへと行く。
「いらっさいませー」
私は店員のダルそうな「いらっしゃいませ」を聞き、店員に商品を渡す。
「あ、そこの煙草。」
「いくつっすか」
「2つ」
「ありざーす。……あ、免許証とか、身分証明できるもん……」
「……これです」
「……はい。ありざーす」
店員は全部で820円と言ってたので、ぴったり820円を出す。
「……えーっと820円お預かりします。……これ、レシートです。」
「ありがとう」
私は店員に礼を言って、商品を持ち、店を出る。
「ありがとうございましたー」
……店員の声がさっきよりも元気になったように聞こえた。
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