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「今のは無しっすよ紅桜さん!」
「……どうして?」
「どっ、どうしてって……それっス、それが無しってことっス!か、可愛いんスよーっ!」
「……何で?」
「あーっもう、話さないでください!ちょっとの間ッ!」
……何で?
私は首をひねる。
今は夕方。
サラリーマンの帰宅時間。
私は定時退社を心掛けているから、残業なんてしないように、日々頑張っている。
で、仕事の帰りに、買い物をしている仗助を見つけて、話しかけると宿題でわからないところがあるという事なので、家に上がらせてもらって。
……意外にお母さんが若くて美人なのでびっくりした。
そして、仗助によく似て優しいので、とても話やすい。
……親が親なら、子も子、か。
いいな。
で、宿題を教えていると、急に「今のは無し」とか、顔を真っ赤にして言うから、ずっと首をひねりっぱなしという訳だ。
「仗助、あんた、発情してるわけじゃあないわよね?」
というお母さんの急なツッコミに、
「ちっ、違う!ってか、入ってくんなよ!」
と、慌てたように言う仗助。
「入ってくんなよ!って、ここリビングでしょ〜?」
と、お母さんが言うと、何も言えなくなったのか、机に突っ伏してしまう仗助。
「うーっ!んだよ……家じゃあなくて、図書館とかにすりゃよかったぜ……」
「ほら、そんな事言ってないで、宿題」
「ん――。もう嫌っス。ゲームしたい」
「じゃあ帰る」
「じゃあするっス」
そう言って宿題に向かうが、ものの数秒でギブアップ。
私はため息をついて、
「話にならないぞ」
と言うと、仗助はスタンドを出して、
「ちょっと外で話しましょ〜よぉ〜」
と言った。
スタンド。……仗助のスタンド。えぇと、クレイジーダイヤモンドだ。
クレイジーダイヤモンドが私の周りをぐるぐるまわってる。
私はそれを見てため息をついて、煙草の箱をポケットに突っ込み、
「……ちょっとだけだぞ」
と言う。
「やった!」
仗助はとても嬉しこんでいる様子だった。
宿題さぼれるから、かな。
「じゃ、先に外出といてください」
仗助にそう言われたので私は、玄関で靴を履き、外に出る。
もう外は、夜になろうとしていた。
……ちょっと話したら帰ろう。
私はポケットから煙草を出して咥え、ライターで火をつけようとするが、そのライターがない。
……ライター、カバンに入れっぱなしか。
私は手帳を出し、何も書かれていない真っ白なページにマッチの箱の絵と、マッチを数本描く。
すると、私のスタンド……そうだ、名前、決めたんだ。

ディメンションズ【次元】

そう、ディメンションズが出てきて、ズアッとマッチとマッチの箱を引っ張り出してくれた。
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