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                                                           💘
一応岸辺先生にアポはとっといた方がいいだろうかと編集長にメールすると、
“露伴先生にはもう行ってるから、好きな時間に行っていいよ”
と返された。
時間指定してくれた方が楽なんだけどな。
私は手帳と筆記用具、そして本棚から適当に2冊本を取り、カバンに入れる。
携帯は胸ポケットに押し込んだ。
化粧もほどほどに、少し雲がかった空の中、岸辺先生の仕事場兼自宅の方へと向かった。
                                                           💘
向かう途中の話をしておこう。
特に何事もなかったと言えばなかったのだが、すっごく古臭いリーゼントの人とすれ違った。変な制服着てたけど、近くにぶどうヶ丘高校の制服着てた子がいたから、ぶどうヶ丘高校の子なんだろうな。
けど、慎重すごく高かったから、コスプレした人かなぁ……。
けど、こんな町中、しかも通学時間に歩くか?
……ドラマの撮影かなぁ。
とか、考えたりしながら地図を見て歩いていると、岸辺先生の仕事場に着いた。
携帯の時計を見ると、まだ10時30分だった。
早く来すぎたかな、と思ったが、好きな時間に来ていいと編集長が言っていたし、大丈夫か。
私はインターフォンの前に立ち、インターフォンを鳴らす。
ピンポーンという音が聞こえたが、何も反応がない。
……あれ、インターフォンって、ピンポーンって鳴ったら、大体の人って
「はぁ〜い」
って出てこないっけ?
私はもう一度インターフォンを鳴らす。
やはり出てこない。
……あぁ、仕事中かもしれないのか。
好きな時間に来てもいいと言っても、やはり都合はあるよな。相手は人気漫画家だし。
私は手帳とボールペンを出し、電話番号と名前を書いて、その下に
“本日から岸辺先生の担当をさせていただく紅桜です。一度ご挨拶に伺いたいと思いますので、お暇な時間ができましたら、上記の番号に連絡をください”
と書いて、紙をちぎり、ポストへ入れようとすると、
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