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「じゃあ聞くが、どうして薬が入っているとわかっていて飲もうとした?」
……どうしてって言われてもなぁ。
何、なんて言ったらいいんだろう。
「興味がわいた、岸辺先生がどう動くのかに興味がわいたから、ですかね。」
私がそう言うと、私の手をつかんでいたのをやめて、紅茶のカップを取る。
「変な奴だな。この僕に興味を示すとは。」
「……優しい人だってわかってよかったです。」
「フン。人をおちょくるのはやめておいた方がいいぞ。」
岸辺先生はそう言って、下へと降りていった。
別におちょくってなんかないのに。
もしかして、褒められるのに慣れてないのか?
福吉はすごい喜んだのに。面白くないな。
私は、岸辺先生の机を見る。
道具はすべて綺麗に手入れされていて、とてもきれいだ。
漫画家の人の机は、道具が散らかっていて、何が何だかわからないぐらいになっていたりするのだが、この人はそうではない。綺麗好きなのかもしれない。
……あと紅茶好きなのかな。
私あんまり紅茶好きじゃないんだけどな。
どっちかって言うと、ミルクティーはなんだけどな。
「何してる、僕ん机の上にあるものは触らないでくれ。」
「……失礼しました。」
私は、岸辺先生の机から離れて、床に正座して座る。
すると岸辺先生は、少し嫌そうな顔をした。
……何か嫌な思いをさせるようなことをしたか?
……もしかして、正座がいけなかったのか?
うーん。
私は体育座りをする。
すると岸辺先生は呆れたような顔をした。
「確かに正座されたのは嫌だったが、かといって体育座りもされたくない。足を伸ばして座ってくれて構わない。」
「……わかりました。」
私は足をぐっと伸ばして座る。
そして、岸辺先生から紅茶を受け取り、1口の飲む。
……うん。今度は大丈夫だ、おいしい。
「で、お前が今日から僕の担当になるのか?」
「はい。」
私はごくごくと紅茶を飲みほして、ふぅと一息つく。
岸辺先生は、それが面白かったのか何なのか、スケッチブックを手にとって、すごい速さで、笑いながらスケッチしていた。
「どうして笑うんですか?」
「その表情が新鮮で、なかなか見れないからさ。」
「そうですか」
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