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……しまったこれ海洋生物の本じゃあないか。
表紙が好きな絵師さんだったから買って、ものすごくがっかりしたやつだ。……一万円もしたのに。
……けど仕方ないか。
私は頭の中に知識が入らないように流し読みをする。
……せっかく持って来たのに読まないのはもったいないし。
本をもう一冊持ってきているけど、あんなのすぐに読めるし。
「紅桜さ〜ん。」
「……あ」
「コーヒーとパフェ持ってきましたよ〜。」
「……ありがとう」
私は本から顔をあげて、コーヒーとパフェが置かれるのを見る。
パフェは上にアイスが3つも乗っていた。
ベースはいちごパフェで。
……お腹いっぱいになる。
「紅桜さん、甘いものが好きだって言ってましたよね?」
私はコクリとうなずく。
「果物で苺が好きって言ってましたよね?」
それにも私はうなずく。
……あ、大体わかった。
「店長が紅桜さんに、って作ったんですよ。」
……やっぱり。
「紅桜さんが喜んでくれたら、店の裏メニューにしようかな、って言ってましたよ。」
……えー。それはやめてほしい。
「……私と人の味覚は違うだろ。」
「じゃあ、その隣の人に食べてもらったらいいじゃないですか。」
いや、そういう意味で言ったんじゃあ……。
私が1人心の中で軽くパニックになっている隙に、店員さんは逃げてしまった。
……おい、話ふっといて逃げるとか卑怯だろ。
……男の人こっち見てるし。
私はコーヒーを一口飲み、どうしようか頭をフル回転させて考える。
えぇっと……うん……。どうしようかなぁ、うん……。
「……おい」
私は持っていたカップをびっくりして落っことしそうになった。危ない。
「さっきの話
「冗談だと思うので、お気になさらず、論文をお書きになってください。」
私がそう言うと、男の人……いや、空条承太郎さんは、驚いたような顔をした。
「なんで俺が論文を書いているとわかった」
「なんとなくです。大人の人が小学生みたいに作文を書くのはおかしいと思ったから、論文かなぁ、と。後、手帳に名前を書くのはいいと思いますけど、書くなら中にした方が防犯上良いと思いなす。貴方の名前、珍しいですから、一発で身元ばれますよ。」
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