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チュンチュン
朝の小鳥のさえずりが聞こえてきたので、ぼくはうーんと伸びをして起き上がり、机に向かう。
僕の名前は岸辺露伴。知らないやつはいないだろう。
それぐらい有名人ってやつになってる。……なりたくてなったわけじゃあないが。

今僕は仕事に詰まってる。
僕の仕事は漫画家だ。週刊少年ジャンプで連載をしている。
漫画の絵にリアリティーを求めるために、色々と情報を収集したが、イマイチピンとこない。
全て昨日来た新しい担当のせいだ。それ組成で情報が頭に入ってこないのだ。
昨日来た新しい担当。
身長は175cmぐらい、年齢は僕と同じか、1つ上ぐらいだろう。
髪の毛と目の色が、この辺では見たことのないぐらい紅色だったから、少し驚いた。
体つきはそこらにいるような、汚らしいものではない。ただ、グラビアアイドルとか言うやつのように艶かしい体つきだった。
そんな姿に反して、物腰はやわらかで、ぼくの意見を尊重するが、クッキーを与えると久しぶりに餌を与えられた犬のようにがっつくというギャップがある。
こんなに素晴らしい素材があるか!
僕は雷に打たれたみたいになったよ。
今思い出してもいい。……いいッ!
……ただ勘が鋭くて察しがいい。
“頭がキレる女”
として有名だったのは本当らしかった。
紅茶に薬を入れたのを、においだけで気付いた。
そんなに匂いのしない薬なのに。
素晴らしい。
僕は担当の名前を聞いて、すぐに仕事に戻った。
担当が帰った後は、ものすごく仕事がはかどった。
けどそれはすぐに終わってしまって。
あの時本にしておけばよかったと、今更ながら、後悔している。
……ああ、くそう。
机の上に散らばっているスケッチを片付け、頬杖をついて考える。
今はまだ早朝の5時だ。
あいつはまだ起きていないだろう。
……しかし、あいつが言っていたことを思い返すと、呼び出してもよさそうなので、ぼくは担当……いや、
紅桜に電話をかける。
トゥルルルル トゥルルルル
と言うコール音が2回鳴った後に
「……はい、紅桜です。」
と言う声が聞こえた。
僕は少し驚く。
こんなまだ朝早いのに起きているなんて。
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