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                                             💘
「で、もし露伴の所に行ったとして、あの女の人は何なんだよ。」
「わからないよ〜っ。……けど、すごく美人で優しそうだったから……彼女、とかなのかも……」
俺は億泰と顔を見合わせる。……そして
「はぁぁあああああぁ!彼女ぉぉぉぉぉぉおおお!」
と、叫ぶ。
周りの奴らがびっくりしたような目で俺らを見てくる。……少し恥ずかしい。が、
スタンドも月までブッ飛ぶこの衝撃。
大声を出さずにはいられない。
あの意固地で、気持ち悪い、性格の悪い奴のどこがいいのだろう。
俺は頭の中で考えてみるが、1つも思い当たるいいことがない。
億泰もそうなのか、「うーん」と唸ったまま後ろへバタリと倒れてしまった。
「おい、億泰。大丈夫かよぉー。」
「お、おう。大丈夫だぜ……。」
億泰は、すたっと起き上がって
「でよ、康一、なんかお礼もらったりしたのか?」
と聞く。康一は、
「いや、あの時女の人は速く学校に行けって、僕のこと心配してくれたみたいでさ。お礼はしてもらってないよ。っていうか、お礼なんていらないよ。」
と言った。康一はこういうところがあるから、いい男なんだなぁ、と思う。
……だからあんな奴に言い寄られたりするのかもしれないのだろうけど。
億泰は康一の言葉を聞いた後、少し考え込んだような表情をしたが、すぐにいつものバカみたいな表情に戻り、
「よし!気分なおしにドゥ・マゴへ行こうぜ!」
と言い出し、1人元気よく靴箱へ行き、靴を履き替えていた。
俺と康一は顔を見合わせて、少し笑って、
「……行くか?」
「うん。行かないと億泰君怒りそうだし。」
と話をする。
「はは。それもそうだよなぁ。……っていうか俺、今月ピンチなんだよなぁ〜。」
「そうなんだ。……僕もちょっとギリギリかもしれない。」
「あんま高いもんは頼めねぇな。あそこのパフェ、美味いのになぁ。」
「あ、僕と半分で食べる?そうしたら料金も半分で済むよ?」
「あ、それいいじゃん。じゃ、そうしよっかなぁー。」
はぁ。もうちょっとお金があればなぁ。
俺が心の中でため息をついていると、遠くの方で
「おーい!速く行こ―ぜぇーっ!」
と声が聞こえたので見てみると、億泰がぶんぶん手を振っていた。
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