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昨日はすごい体験をしたんだと思う。
いやー。ヤバかった。
どすって貫かれたと思ったら、生きてるし。
……恐ろしかった。
けどまぁ、なんだろう。生きててよかった。
私は昨日の日記を読み返して、んーっと伸びをする。
現在時刻は午前六時。
天気は、晴れだ。
                                               💞
「えぇ、岸辺先生の所へ行ってから行きます。」
“あぁ、そうしてくれ。……できる限り早く来てくれると……。”
「わかりました。失礼します。」
私は歩きながら、ため息をつく。
できる限り早く、か。
何か良くないことでもあったのだろうか。
私は急いで用を済ませようと思い、速足で岸辺先生の家へと向かう。
岸辺先生の家へ着いた時には、もう10時になっていた。
私は、インターフォンを押す。
するとすぐに、
「入れ。」
と言って岸辺先生が出てきた。
とても嬉しそうな顔で。
……お菓子をもらって喜んでいる子供みたいに。
「……おい、入れって言ってるんだ。もうそろそろ来ると思って、紅茶を淹れてある。」
岸辺先生の表情をよく見る。
何か、企んでいるのだろうか。けれど、こんなところでぼーっと突っ立っていてもいけないし。
「……失礼します。」
私は玄関できちんと靴を脱いでから、岸辺先生に案内されて、部屋に入る。
……岸辺先生の仕事場。
インクの匂いがして、とても居心地がいい。
私も個人的に絵を描いたり、物を作ったりするから、このインクの匂いというのは、すごく好きだ。
「……悪いな。換気をしないまま仕事をしていたから、インクの匂いがこもっている。」
「……いえ、大丈夫ですよ。」
「そうか。ん、紅茶。飲めよ。」
「……いただきます。」
私は一応匂いを確かめてから、飲む。
……うん。美味しい。
岸辺先生が、私の方を見て、露骨にニヤリと笑ったのは、気のせいだろうか。
「さ、昨日の約束を守ってもらおうか。」
「……はぁ。私は何をすればいいでしょうか。できるだけ手短にお願いしますね。」
「君が動かなければ大丈夫だよ。すぐに終わるさ。」
「そうですか。」
私は動かなくて良いならいいや。と思って、紅茶を飲み切って、カップを岸辺先生に渡す。
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