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「……そういえば、腹の調子は?」
「大丈夫です。ご飯も普通に食べれますし。」
「へぇ。あんなところの病院の薬、意外に効くもんなんだな。」
「……まぁ、信頼してますし。」
岸辺先生は私とある程度話した後、
ん?
という風に首をひねる。
どうかしたんだろうか。
「どうかされたいんですか。」
「いや、別に。……クッキーを取ってくる。食べるだろ?」
「いえ、今日は結構です。」
「チッ。分かった。」
岸辺先生は露骨に盛大な舌打ちをして、下へと降りていった。
……私、何か悪いことしたかな?
……また、何か薬とか入れたのかな?
「……くそっ、おかしい。」
岸辺先生がそう言いながら戻ってきたので、あ、何かしたんだな、と思い
「何がですか?」
「フン。君には関係ない。」
岸辺先生って、本当解りやすい人なんだな、とつくづく思う。
「……何かしたんでしょ。まぁ、紅茶に混ぜた薬の効果が出なかったとか、なんでしょうけど。」
私がそう言うと、岸辺先生は私の腕をつかんで、
「どうして薬が入っているとわかったんだッ!今回は飲むのを止めなかったのに……。」
「……教えますから、何が入っていたのかを教えてください。」
私は岸辺先生の正面に座る。
岸辺先生も、私の前に座った。
「今回入れたのはしびれ薬だ。前のよりも気付きにくいやつなんだが……。」
岸辺先生は、ウムムム……。というように唸っていた。
「……私、学生時代に薬なんて、死ぬほど飲まされたんで、それで耐性みたいなのがついてるんだと思います。」
「へぇ、学生時代に薬。大麻とか吸ったのか?」
「いえ。そういうわけじゃないです。どっちかって言うと、危ない医薬品の方ですかね?」
「ふーん。自分から?」
「違います。自分から飲むわけないですよ。」
私がそう答えると、岸辺先生はメモを取っていた。
“漫画のネタ”になるんだろうか。
「……で、なんで薬が入っているのが分かったんだ?」
「……私と話している時に、首をひねったり、舌打ちをしたりしてたでしょう。それで、また薬入れたのかな、って思ったんです。」
「……それだけか?」
「それだけです。」
私がそう言うと、岸辺先生は、大声で笑いだした。
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