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「面白いよ君ッ!最高だ!康一君と同じぐらい最高だよ!素晴らしいッ!」
といって、私に紙を一枚渡してきた。
何か書かれているのだろうが、裏返されて渡されたので、何が書いてあるのか分からない。
「……表向けてみろ。」
「……いいんですか?」
「あぁ、早くしろよ。」
「わかりました。」
私は、ひょいと紙を表向けて、紙を見る。
そこにはピンクダークの少年の一コマが描かれていた。
……確か、最新刊の真ん中あたりのページのシーンじゃないかな?
なんて思っていると、
腕に力が入らなくなった。
ちらりと腕を見ると、腕が本……。
本になっていた。
体を見ると、体も本になっていて。
……あぁなるほど。あの時言っていたのはこういうことだったのか。あぁ納得。
「……パニックにならないのか?」
「……パニックになろうと思いませんし、これ、約束したことでしょう。」
「君は本当に面白い奴だよ。」
そう言って岸辺先生は私に近づいてきて、本に書かれていることを読み上げる。
「何々…………名前は紅桜、身長は175p。体重は、言わないでおいてやる。君、意外に気にしそうだからな。……歳は……23!?僕より3つ上だったのか!?君!」
「……そうですけど。」
「へぇ〜。若く見えるね。僕と同い年だと思っていたよ。」
「そうですか。」
……じゃあ岸辺先生はまだ20なのか。
へぇ、若いなぁ。
「出身は杜王町。……へぇ、ぶどうが丘中学校と高校を卒業しているのか。」
「はい。」
「ふーん。」
だから、仗助、億泰、康一君の先輩ということになるのだが、まぁ、関係ない。
「さ、次々、と。……ん?」
ぐっぐっと次のページを開こうとしているようだが、開かないらしい。
ちらりと岸辺先生の手元を見てみると、岸辺先生の手を、何か、手のようなものが押さえつけていた。
……何なのだろうか。
「ん!?どういうことだ!次のページが開かない……?」
岸辺先生は頑張って無理やりにでも開こうと頑張っているが、どうにもこうにも開かないらしく、
「もういい。」
と言った。
岸辺先生がそう言うと、私の腕やら何やらはすっかり元に戻っていた。
……変なの。
「……で、君、昨日何をしていた?」
「……どうしてですか」
「昨日僕は夕方、君に何回も電話したんだぞ。」
「そうなんですか。」
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