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ピンポーン
という音が二回鳴った後、
“東方です”
と女性の声が聞こえてきた。
きっと、仗助のお母さんなんだろうな。
「空条だ」
“あ〜はい、仗助、ですよね……、仗助ぇ!あんたに客ゥ!”
すごく小さくだけど、
“あ?ったくこんな時間に何だよぉ〜ッ、せっかくゲームしてたってのによぉ〜”
という声が聞こえた。
……ゲームか。さすが高校生だな。
「はーい。……承太郎さんと、紅桜さん!」
「……ゲームの邪魔して悪かったな」
「イ、いや、そ、そんなことないっスよぉ〜?」
ちょっと目が泳いだ。
図星だな。
「……で、何の用っすか?こんな時間に」
「紅桜のけがを治してやってくれないか?」
「紅桜さんの、けが……?」
不思議そうに近付いてきて、少し驚いたように、けど、鋭い目で、
「どうしたんスか、これ」
と言った。
「……スタンド、使い?に会ったんだ。ついさっきまで戦ってて、それで、その、切ったっていうか、切られてっていうか……」
「……無茶なことしたんでしょ、どうせ」
私は承太郎さんの方を見る。承太郎さんは、フイと顔を背けた。
……本体が本体なら、スタンドもスタンドだなぁ。
「ほら、手ぇ出してください」
「ん」
私は、怪我をしている方の手を出す。
すると、仗助は私の手を包み込むようにしてとって、
「クレイジーダイヤモンド」
と言った。
すると、仗助の手から、もう1本手が出てきて、
私の傷は見る見るうちに治っていった。
「……これが俺のスタンド能力っス。なんかあったら言ってください。風邪とかは治せないっスけど、こーゆう傷なら治せるんで」
「すごいな、傷ついたものを治せるなんて」
「すごくないっスよ。……死んだ奴は、生き返らない……から」
少し悲しそうな顔をして、そう言う仗助。
「それでも、助けられる人はいるんだ。その人たちを助けられるんだから、すごいさ」
「……そ、そっスか〜?なんか、手、照れるなぁーっ、へへへ」
ヘラリと笑う仗助。
なんか、犬みたいだな。
……柴犬、とか?
尻尾とか振ってそうだな。
「でも、スタンド使いに襲われるって、どこで襲われたんスか?こんな時間に」
「……さぁな。帰るぞ、紅桜」
承太郎さんが遮るようにそう言った。
……なんで言わないんだろう。
けど、まぁ……いいか。
「……また話をする。……もう行くから。ありがとうな、手、治してくれて」
私は礼を言って、サーサーと行ってしまう承太郎さんの後を追う。
少しだけ振り返ると、仗助が少し寂しそうな顔をしているのが見えた。
……もう少しいればよかったかな。
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