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今日は休日である。
休日、と言っても、祝祭日でだ。
今は午前11時30分。
僕は外に出ず、かといっていつもなら書いている漫画にも手を出さず、ボーっとしている。
ピーンポーン
という音がしたので、僕は飛び上がって外へ出る。
…………現実なら、嫌なんだが。
「岸辺先生、どうしたんですか」
……君は良い、今日呼んだから。
色々と話をしようと思って、呼んだだけだから。
「露伴先生?」
その横にいる……康一君も、まだいい。
けど、
「なんでいやそーな顔するんスか?露伴センセー」
クソッタレ仗助がいるという事にものすごく腹が立つ!
クソッ、なんでお前がいるんだよ!
「……あの、岸辺先生?」
「あ、すまない。入ってくれ」
僕は、仗助のヤローを睨んでから、入るように促す。
本当は入れたくないけど、この流れで入れないと、紅桜に何か言われそうなので、やめにする。
「仗助君、どうしてそんなに紅桜さんにくっつくの?」
「露伴の弱点っぽいからに決まってるからだろ」
……すっごくイライラする。
やっぱりこいつだけ、外に放り出せばよかった。
「岸辺先生」
「何だ」
僕は思わず強めに返してしまう。
「また時間を改めましょうか?」
……紅桜、君は本当に面白いな。
クソッタレ野郎+康一君と一緒に射ろというのか。
馬鹿。
「いや、今で良い」
「わかりました」
紅桜は僕の仕事場へと入る。
僕の机の上に載っている、原稿の入った袋を手に取り、ちらりと中身を見る。
「……見てもいいですか?」
「あぁ。構わない。けど、汚すなよ?」
「わかってます」
僕は紅茶を淹れに、キッチンへと向かう。
……実は、紅桜に渡した、あの原稿。
あれは、手を抜いて描いた(と言っても、雑誌には載せられるぐらいの)ものである。
少しだけベタがはみ出していたり、細かい部分が塗られていなかったり。
よく見ないとわからない部分ばかりだが、紅桜は見抜くだろうか。
見抜かないなら、そのまま持って行ってもらうつもりだし、見抜いたなら、本物の原稿を持って行ってもらうつもりだ。
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