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あ〜どうしよう。
めんどくせぇことになった。
今は丁度下校途中。
俺は今日、1人でゲームをしたかったから、速く帰ろうと、帰路を急いでいたのに。
……早くしないと、せっかく思いついた攻略法を、忘れちまうだろ。
……で、なんでめんどくせぇことになったのかというと。
「うわあぁあああああぁあん、風船があぁあああああぁあ〜」
と泣きわめく子供。
の親が、俺の方を、さっきから何回も見てくるのだ。
子供が泣きわめいている理由の原因の風船は、高い木の枝に引っかかっている。
……とってやりたいけど、俺が登ったら、俺折れるだろうなあ……。
スタンド使えばいいかもしれないけど、変に思われたら後でめんどっちーし。
“HAHAHAHA、風邪でこっちに飛んで来たんだよー”
とか言って、説明がつくんならいいけど……。
と、
「仗助じゃあないか」
後ろの方から声がしたので振り返ると、 紅桜さんが居た。
……私服を着ているから、休み、なのだろうか。
いつも、スーツのイメージしかないから、新鮮だ。
「何か困ったことでもあるのか」
「あ、あ……あの風船を取りたいんスけど……」
「あぁ」
俺が風船の方を指すと、紅桜さんは俺に荷物を渡して、木に登って行った。
「あ、ちょ、紅桜さん!何してるんスか!?」
「……ん、取れたぞ」
「早く降りてきてください!」
速い。
上ってから数秒だったぞ、風船まで。
登りなれてるのかな。
「あ、僕のフーセンだ!」
「ん、君のか?」
「うん!ありがとう!おねえさん!」
「あぁ」
紅桜さんは子供に風船を渡す。
子供の母親は、子供に近付いて、子供の腕をぐいぐいと引っ張って、遠くの方へ行ってしまった。
俺は、それを見てイラっとする。
紅桜さんがわざわざ木に登って取った風船なのに。
親の方から礼がないなんて。
“礼ぐらい言えよ!”
と言いたかったが、変な空気になりそうだったので、やめにした。
「大丈夫っスか?紅桜さん」
「あぁ。大丈夫だ」
紅桜さんはパンパンと木くずを払う。
……あ、足擦りむいてる。
「足、擦りむいてますよ」
「これぐらい、大丈夫だ」
「大丈夫じゃないっスよ、ほら」
「嫌だ」
「どーしてっスか?痛くないのに」
「直してほしいものがあるから、その時でいい」
「直して、欲しいもの……?」
「あぁ」
紅桜さんは俺の方を見て、
「……私の家に来てくれるか?」
と言った。
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