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……便利だな。
私はマッチを使って火をつける。
自分にも火が付くんじゃあないか、と一瞬ヒヤッとしたが、そんなことはないらしい。
……そりゃそうだな。自分燃えちゃあ意味ないもんな。
ディメンションズがスッと私の手に触れて、そのままスーッと消えていった。
……私は、承太郎さんが言っていた、“スタンドは出し入れが可能”的な事が、イマイチ良く解らない。
たぶん、長年スタンドといるから、慣れているんだろうし、扱いもわかっているから良いんだろうけど、
私はまだ、スタンド使い(仮)ぐらいの位置で、そんなにスタンドについてよくわからないし、自分の能力の上限や、弱点も良く解らないし。
……うーっ、それが今の悩みのタネだ。
あと、岸辺先生と、福吉。
「あ、居た居た。ちょっと歩きましょ」
仗助がひょこっと出てきたので、私は煙草の火を消し、空になった煙草の箱に入れる。
……帰りにオーソンよって行こう。
ちょっとめんどくさいことになるけど、いい運動になるだろ。
「紅桜さんって、タバコ吸うんスね。なんか、カッコいいっス」
仗助が、私の持っていた煙草の箱を見て言う。
私は箱をポケットに押し込んでから、
「……吸えば、癌になりやすくなる。カッコいいなんてことはない」
と言うと、
「……そう、っスか」
と言って、私の方に、少し寄ってきた。
空を見上げると、雨が降り様な感じだった。
向こうの方を見ると青空が見えるから、通り雨か何かが来るかもしれない。
「そういや紅桜さんの私服って、袖長いっすよね?なんでなんスか?」
仗助がそう言いながら歩き始めたので、私も後ろを追いかけるように歩き始める。
「……日焼け対策……かな」
と、さっきの質問に対して返すと、
「……本当っスか?」
と聞いてきた。
……勘が鋭いのか、それともからかっているだけなのか。
仗助は、歩くスピードを落として、私の横へ来る。
「……首元に、変な傷の痕がある。たぶん、結構深くて大きい傷で、何年も前につけられたものでしょ」
私は思わず首元をおさえる。
……見えていたのか、いつも見えないようにしてたのに。
今日も見えないようにしていたはずなのに。
「……仗助」
「なんスか」
「もしこれが、腕まで続いている傷、だとして、どうするんだ?」
「治すっス」
「そうか」
私は少しだけ腕をまくって、傷を見せる。
岸辺先生にも見せた、やけどの傷だ。
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