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「中で何が起こってるんだ……?」

……を殺す
…………ぜだ、どうして……?
……が俺から…………をっ……!

途切れ途切れだが、少しだけ声が聞こえる。
……誰を殺すって?
僕はもう少しよく聞きたくて、ドアの方に近付く。
すると、
「岸辺先生!扉から離れて!」
という大声が聞こえてきたので、僕は慌ててドアから離れる。
その直後に、凍り漬けの本やペン、鉛筆が、大量に投げ出されてきた。
もしあんなのが、僕に当たったら……。
想像しただけで、ゾッとする。
投げ出されたものは、砕け散って無くなってしまうか、ゴトッと音を立ててT、廊下に転がるかのどちらかだった。
扉がバリバリと音を立てて、凍らされてしまった。
何も聞こえない。
聞こえるのは、僕と、仗助の奴が呼吸をする音だけだった。
「露伴先生よォ……ちょっと離れてもらえませんかね」
「どうしてだ?」
「この扉をぶっ壊すんっスよ。……もう我慢ならないっス。中にいる奴は、殺しにかかってるんでね」
「……フン、好きにしろ」
仗助は、自分のスタンド、クレイジーダイヤモンドを出し、扉の前に立つ。
「ぜってー許さねーぞ!中にいる奴ッ!」
ドラララララララララララッ!
という、ラッシュの声が、病院内に響く。
野田はまだ、呑気に気を失っているらしい。
僕は、ヘブンズドアーで彼に何か書きこもうとしたのだが、仗助の奴が粉々にしたドアの破片がゴツッと彼の頭の上に当たったので、やめにした。
つくづく運のいい奴だ。
「ッ、なッ、なんだよ……これ……」
仗助の奴が、絞り出したような声で言った。
僕は、粉々になったドアの向こう側を見る。
……目を、疑った。
部屋のすべてが氷漬けにされていて、調度品までもがカチカチに凍っていた。
その部屋の中央で、ガタガタと体を震わせながら座り込んでいる紅桜と、それを心配そうに見つめている男、いや、青年が居た。
その青年は、車いすに乗っていた。
……あいつが、山田福吉とかいう奴で、間違いないだろう。
「おいテメェ、紅桜さんに何をした……?」
仗助の奴が、一歩、部屋の中に踏み出した。
「答える必要はない」
「あぁ?答える必要はねぇだと?……ふざけたこと言ってんじゃあねぇぞコラ!」
男は車いすを仗助の方へと進めていく。
古いものなのか、キコキコキコ……という音がする。
「君に用はない」
「あぁ?」
「……あの女の人のようになりたくないのなら、帰れ。僕はそこの、岸辺露伴とか言う自己中な奴に用があるんだ」
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